【彩人国記】障害者とともに働くアイドル・徳永なおさん

ハイタッチ会のイラスト(女性アイドル)
産経新聞さま
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■みんな楽しく集まる場所に

 今年7月、さいたま市岩槻区美園東に駄菓子屋「えーる」がオープンした。障害者の職業訓練を行う「就労継続支援B型事業所」として、芸能事務所が運営し、2人組アイドルユニット「YELL+(えーる)」の徳永なおさんが店長、宝生あずみさんが副店長を務め、障害者とともに働いている。徳永さんに開店の経緯や今後の展開について聞いた。

 --就労継続支援B型事業所を始めた経緯は

 「もともと福祉に関心があり、立ち上げのときに福祉もやるユニットにしようという話になりました。デビューライブは神奈川の障害がある子供が通う『放課後等デイサービス』で行いました。そこで、半年間くらい働かせてもらい、働ける場所を作りたいと思い始めました」

 --駄菓子屋にした理由は

 「小さな頃から障害がある方と接する機会があり、私の中では障害のあるなしの隔たりはあまりありません。障害のある方と多く接する機会を作れたら良いと思いました。そこで、子供たちも来て、大人も懐かしいと思って来る場所は何かと考え、駄菓子屋さんにしました。みんなが楽しく集まれる場所を目指してスタートしました」

 --小さな頃から接する機会があったのは

 「一つは小学校の頃、特別支援学級に行く機会が多くあり、遠足でも一緒に出かけていました。隣のマンションに障害のある方が住んでいて、そこのお子さんと小さな頃によく遊んでいました」


 --開店して半年近くたちました

 「最初はどうなるか不安でしたが、少しずつ利用する障害者の方が増えました。ここを作るときにレイアウトを担当して考えたのは福祉施設は明るい所があまりなく、女性が『来たい』って思える所がそこまでないと聞いていました。女性が『来たい』と思えるように明るく、きれいでかわいいレイアウトにしました。障害者の方が『また来たい』と言ってくれるのがうれしいです。以前に働いていた施設で休みがちだった方が『休みたくない』って言ってくれる。それで、やっていてよかったなと思いました」

 --苦労したことは

 「障害の種類が色々ある中で、人間関係でどう接して良いのかわからない方もいます。言葉って自分にとって嫌じゃなくても相手にとっては嫌かもしれないので、言葉を選ぶようになりました。『何でできないの』とか言っちゃうと来られなくなったりするので、そうならないように『来たい』と思えるように気を付けています」

 --今後の展開は

 「自閉症の方は見た目から障害があると気付かない人も多い。例えば、ヘルプマーク(外見から分かりにくい病気や障害を知らせる赤地に『+』と『?』を組み合わせたデザインのマーク)自体を知っている方も少ない。私たちはここを拠点に活動しながら、そういう課題があることを広めていきたい。障害を持っている方が過ごしやすい社会になっていけば良いなと思います」(川上響)

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