横浜市19年度当初予算案 国内外の観光客誘致に重点

外国人観光客のイラスト(東南アジア人)
東京新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------

横浜市は二十五日、二〇一九年度の当初予算案を発表した。九月に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)や来年に迫った東京五輪・パラリンピックなど世界的イベントを見据え、国内外の観光客誘致に力を入れる。また、市の人口が今年中に減少に転じる見通しのため、持続的な市の発展と介護分野の人手不足解消につながる取り組みを拡充する。 (加藤益丈)

観光では、クルーズ船で横浜に来た外国人観光客に市内に長く滞在してもらおうと、買い物などを楽しめる店舗をグループ化してPRする事業を始める。外国人観光客の四分の一を占める中国人に向けては、人気ブロガーを招待して個人旅行客への発信を強める。

W杯を控え、ラグビー人気の高い国向けに現地の宿泊サイトでの情報発信を強化する。鎌倉市などと連携した周遊プランも整備する。林文子市長は「一度だけでなく『また行きたい』と思ってもらえるようにしたい」と意気込んだ。

介護分野の人手不足解消策としては、ホームヘルパーを志す人に受講が義務付けられている初任者研修などの費用の補助事業を始める。四月から改正入管難民法に基づく外国人労働者受け入れが拡大されることから、日本語を学べる場をベトナムに設け、横浜で働く魅力もアピールする。

利用率が2%台と低迷する市立中の配達弁当「ハマ弁」は、十二校で試行している当日朝の注文を全百四十五校に広げる。一九年度中に利用率を15%に引き上げる目標は維持。林市長は「おいしいものと理解されれば良い方向に行く。大いなる勝負だと思っている」と力を込めた。

市立劇場建設の調査検討費は前年度の一千万円から三千万円に増額し、整備した場合の効果や課題、解決策を有識者に検討してもらう。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)については「白紙」の立場を崩さず、五年連続で調査費を一千万円にとどめた。

◆一般会計1兆7615億円 5年連続プラス、過去最大規模
横浜市の一九年度予算案の一般会計は五年連続プラスの一兆七千六百十五億円(前年度比2・0%増)で、過去最大規模になった。新市庁舎建設などの大型公共事業が佳境を迎えるほか、十月に予定されている消費税の10%への引き上げに伴う景気対策費などが盛りこまれた。

特別会計(一兆三千二百八十二億円)と公営企業会計(六千百五十二億円)を合わせた総額は三兆七千四十八億円(前年度比3・1%増)。二十八日開会の市議会定例会に提出する。

歳入では、市税収入を八千三百七十五億円(同3・3%増)と見込む。雇用環境の改善により働く人が多くなり個人市民税が、企業収益の改善で法人市民税がそれぞれ増える。一方、他の自治体にふるさと納税をする市民が増え、これによる減収は四十三億円拡大して百三十六億円になる。

借金に当たる市債発行額は千七百二十億円(1・2%増)を計上した。二〇年に完成予定の新市庁舎や首都高速横浜環状北西線などの整備が大詰めを迎えるためで、その後の市債発行額は減る見通し。

歳出では、ラグビーW杯関連費などの行政運営費が百八十三億円(7・3%)増と大きく伸びた。消費増税に伴う景気対策の一つである低所得者ら向けプレミアム商品券の発行費用と、二〇年二月に移転に向けた準備が始まる新庁舎の光熱水費などの管理費(三億五千五百万円)も計上した。

子育て支援や高齢者福祉などに充てる扶助費も、消費税増税に伴う幼児教育・保育の無償化などにより百七十一億円(3・5%)増えた。ただ、人件費と公債費が減ったため、扶助費と合わせた義務的経費が歳出全体に占める比率は、一六年度以来三年ぶりに六割を切った。

子育て支援策では、保育所などの受け入れ枠を二千二百人分増やす。自治体間で「争奪戦」の様相を示している保育士の確保のため、保育所が住居を借り上げた場合、家賃の四分の三を補助する事業の枠を約一千戸増やして二千八百九十戸とする。小児医療では、通院費助成の対象を従来の小学六年までから中学三年までに拡大する。

また、がん検診の受診率を引き上げようと、三年間限定で四十歳以上の大腸がん検診を無料化する。

------------------------------------------------------------------------------------------------