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「保育園に落ちた…」と嘆く声が上がっている一方で、「保育園に落ちたい」という希望を持っているママがいるのをご存知でしょうか。
2人目が産まれたら上の子は退園⁉「2人目の壁」を前にした保育園ママのホンネ
法改正に伴い育児休業の期間が拡大されたことにより、保育園の入所を希望しないママは増えていると言われています。
もちろん、こうした真意を口にするママはいないものの、この事態について保育士さんはどのように見ているのでしょうか。今回は都内の認可保育園に勤務する40代の保育士さんにお話を伺いました。
そもそもなぜ「保育園に落ちたい」と考えているの?
冒頭でも触れた通り法改正によって、育児休業の期間が長くなりました。かつては原則1年間と定められていましたが、現在は延長すれば2年間の育児休暇と取得することができます。これが、「保育園に落ちたい」というママの増加理由の一つと考えられるのです。
また、他にも「絶対に入所しなければならないという状況ではない」「まだ仕事よりも育児を優先したい」など、各々に理由はあるでしょう。
いずれにせよ、「保育園に落ちた…」と嘆くママがいる一方で、「保育園に落ちたい」という悩みを抱えるママは一定数いるのが現状です。
「保育園に落ちたい」というママを保育士さんはどう見ている?
保育士さんは「保育園に落ちたい」と悩むママに対し、どのように見ているのでしょうか。実際の本音について、都内の認可保育園に勤務する保育士さんに話を伺いました。
環境が許すなら「保育園に落ちたい」というのは当然のこと
ーー保育園に落ちたいというママが増えている現状にどう思いますか?
保育士さん「すぐに仕事を始めなければならない、経済的な余裕がない、などの問題がないのであれば、保育園に落ちたいというのは当然のことであると思います。
やはり、我が子の成長を近くで見ていたいという気持ちがある以上、保育園という選択肢は最後の手段にしておきたいものなのではないでしょうか。
特に0~2歳はかわいい盛り。環境が許すのであれば、保育園に落ちたいというのは当然のことと思います」
「保育園に落ちたい」という悩みについては、全面的に理解があるのだそうです。
保育士目線で見ても、「母親が子供触れあう時間を確保したい」と考えるのは当然のこととして認識しているため、こうした悩みについて違和感を覚えることはないとのことでした。
何より困るのは「入所辞退者の続出」
ーー保育園に落ちたいというママが増えると保育士さんには何か影響があるのでしょうか?
保育士さん「私の勤務する園では、現在までであまり影響を受けたことはありません。しかし、知人の勤務する認可保育園では、入所辞退者が続出した、という話を聞きました。
保育園側も一人でも多くの待機児童問題を解消できたら…と考えているので、こうした辞退者が増えると少しモヤっとするのは事実です。
また、保育園の入所を切実に希望している親御さんからしたら、辞退する前提で申し込みをするというのは、気持ちの良い話ではないと思います」
実際に、自治体では「保育園入所の辞退」が相次ぐケースがあり、自治体も保育園も頭を悩ませているといいます。また、中には「入所しにくい保育園を教えてほしい」といった問い合わせがあることもあるようで、「待機児童問題」に次ぐ、新たな問題といえるのではないでしょうか。
保育士さんから見る「園側の改善点」
保育園側の対応の限界
ーー「保育園に落ちたい」という問題について、保育士さんから見る改善点は何が挙げられますか?
保育士さん「結論から言いますと、やはり申し込みの時点で何を希望しているのかがわかるようなシステムがあった方が良いと思います。例えば、申し込み書に新しく記入欄を設けたり、申し込みの際に親御さんから現状を聞いておく、など。
現時点では、それぞれの親御さんが抱える問題に対し、保育園側はほとんど対応ができないというのが現状ですから、実際に親御さんと顔を合わせる自治体の方々や、法改正に期待することしかできません」
基本的に、ママたちの入所申し込みに関しては、保育園は直接関与するわけではありません。そのため、保育園側の対応には限界があり、十分にサポートできないというのが現状のようです。
「保育園に落ちたい」の悩みを抱えるママは今後も増える見込み
「保育園に落ちたい」と悩むママは今後も増えることが予想されています。あえて競争率の高い保育園に申し込みをしたり、保育園を辞退することを前提に申し込みをしたりなど、育児休業の延長のためにあらゆる手を使うことでしょう。
こうしたママに対して批判的な意見が挙げられるケースは多いものですが、保育士としては「辞退の続出は避けたいが、こうしたママの気持ちには理解できる」とのことでした。
以前から保育業界は様々な面において改善が必要であると指摘されてきていましたが、法改正に伴い新たな改善点が発生したように思います。
「保育園に落ちたい」「保育園に受かりたい」という、それぞれのママの複雑な問題が解消される日が来ることを願うばかりです。
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