両立支える保育の安心高めよ

安心毛布のイラスト
日本経済新聞さま
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女性の就労を後押しするには、安心できる保育サービスの拡充が欠かせない。仕事と子育てが両立しやすくなれば、少子化対策ともなり、子どもの健やかな成長につながる。数とともに質を高めていくことが大切だ。

安倍晋三首相が「女性の活躍」を打ち出した2013年からの5年間で、保育サービスの受け入れ枠は約54万人分増えた。政府はさらに整備し、20年度末までに待機児童をゼロとする目標を掲げる。

ただ人手不足が深刻になり、経験の浅い保育士も増えている。まずは研修の充実などで能力を高め、働き続けやすい環境を整えることが大切だ。

新しいサービスへの目配りも要る。企業が従業員ら向けにつくる「企業主導型保育」は16年度から始まった。約54万人分のうち6万人分を、これが占めている。認可外の施設だが、一定の基準を満たせば認可並みの助成金が出る。財源は企業からの拠出金だ。

一気に参入が増えたことで、一部で突然の休園や、定員割れなどの問題が浮上している。政府は18年12月、対策のための検討会を設けた。拠出金を有効に生かすためにも、運営の実態をていねいに把握し、監査や相談体制の充実などを急いでほしい。

質の向上が必要なのは、他の認可外施設も同様だ。外部の目をしっかり入れることがカギを握る。立ち入り調査や巡回指導など、行政によるチェック体制を強めることは急務だ。ここ数年、認可施設への移行を目指すところも増えている。しっかりと後押ししたい。

10月からは幼児教育・保育の無償化が始まる。認可外も幅広く対象に含めるとする政府に対し、自治体は範囲を限定することを求めている。これを機に、保育サービス全体の質を底上げし、ふさわしくない施設をなくしていくことこそ本質的な課題だ。

18年に生まれた子どもの数は推計92万人にまで減った。働きながら安心して子どもを産み育てられる環境をつくらねばならない。

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