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2月初旬頃、各地で保育園入園を巡る選考結果が通知された。地域によってはいまだ待機児童問題が深刻で、“保活”は超激戦だ。
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「第1希望は、0歳児の定員9人のところに75人の申し込みがあり、ウチは47番目。基準点は満たしていたはずなのに、この順番では2次も絶望的です」
こう嘆くのは、保活激戦区で有名な東京都世田谷区で生後5カ月の男の子を育てる会社員の女性(35)。1月末に保育園の1次選考の結果を受けて、厳しい現実を思い知らされた。
臨月寸前の昨年夏から、認可や認証の園を見学して回った。女性が住む二子玉川駅周辺の住宅街は坂のふもとにあり、坂を上った場所にある園だと、毎朝相当な急坂を上らなければならない。それに通勤で使う沿線とは遠くもなる。近所には新設の認可園もあったが、ここは3歳以上になると、子どもがバスで別の場所に連れていかれて保育されることがわかった。息子が熱を出した時のお迎えなどを考えると、現実的ではない。
結果、女性が望む保育園はかなり限定されてしまった。そうした悩みも含めて区の窓口に相談したが、担当者の返答は「根性論」だったという。
「本気で預けたいなら、電車やバスでも行ける園も検討しないとダメだと言われました。0歳から環境の悪い園に通わせたくない。育休延長も考えていますが、付近の園は1歳児の枠はすべて、入園選考できょうだい加点がつく2人目以降の子どもで埋まったと聞きました。ウチは1人目なので、1歳枠でも激戦になりそう。2次選考で落ちたら、年度途中で入園できる認証や認可外を探すつもりです」
世田谷区の待機児童数は2017年度が861人で5年連続全国トップだったが、18年度は44%減の486人にまで減少した。保育園の整備を急ピッチで進めて18年度は保育総定員数を1275人増やしたうえ、認可の申込者数も435人減少したことで、大幅に数値が改善した。だが19年度は、入りやすくなったことでまた待機児童が増えるという「揺り戻し」が起こるかもしれない。保活の相談を多く受ける同区議の風間ゆたかさんは、現状をこう分析する。
「減少トレンドにあったと思われた申込者数が19年度は6447人に増えた。これは待機児童数がピークだった16年度を若干上回っています。認可保育園に入園可能な人数は16年度よりも548人増えていますが、新設園の4、5歳児クラスはがらがらなので、増加枠が全て埋まるわけではない。認可に入れなかった方たちを認可外などですべてカバーできるほど、保育枠は増えていません」
同区は「両親が正社員でフルタイム雇用」「勤続1年以上」「育児休業明け」という三つを満たせば「点数」が109点となり、これが入園可能な一つの基準となっている。前出の女性も109点だったという。同点だった場合は、世帯所得が低い順に選考されるが、風間さんによると、世帯年収が1千万円を超えると認可にはなかなか入園できないケースが多いという。19年度はその厳しさが増しているとみる。
「今年はきょうだいポイントがあっても落ちたという報告があるくらいなので、高所得世帯は相当厳しいでしょう。ピークだった3年前に戻っているような感じです。保育課はもう一度保育ニーズの見積もりをし直すべきです」(風間さん)
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