主張/保育園に入れて!/悲痛な声受け止め打開策急げ

待機児童のイラスト
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子どもを預ける保育所(園)が見つからない事態が今年も相次ぎ、父母たちが悲鳴を上げています。「4月に仕事復帰するのに、どうしたら…」。1次選考の不承諾通知を自治体から受け取った人たちの声は切羽詰まっています。「保育園落ちた」の怒りのブログを機に待機児問題が大議論になって3年―。安倍晋三政権は「待機児ゼロ」目標を2020年度末まで先送りするなど父母の切実な要求に逆らい続けています。4月入所へ緊急策を急ぐとともに、安心・安全の認可保育所の大増設、そのための保育士不足の解消へ抜本的な対策を講じることが必要です。

認可園の増設こそが急務
認可保育所(園)の4月からの入所を申し込んだ人たちの1次選考結果が自治体ごとで明らかになり、状況の深刻さが浮き彫りになっています。東京23区のある自治体では約1500人が不承諾になりました。首都圏の複数の政令市では3500~4500人規模で不承諾になっています。

入所が決まらない親は自治体に対し再度の申請、不服審査などの取り組みを始めています。子どもの預け先が確保できず復職できないことなどないよう、国・自治体の真剣な対応は待ったなしです。

昨年4月は、認可園に入れなかった待機児童は約2万人、認可園に入れず自治体独自の施設(東京都の認証保育所等)などを利用した「隠れ待機児」は約7万人にのぼりました。毎年、多くの待機児が生まれるのは、認可園の増設・整備が追い付いていないためです。東京都が昨年発表した保育ニーズについての調査では、保護者の利用したい施設の上位は、公立認可園(51・9%)、私立認可園(39・3%)となっています。保護者の要望に正面からこたえ、認可園の抜本的な増設をすすめるために力を尽くすことが求められます。

ところが安倍政権が力を入れるのは、認可外の「企業主導型保育所」です。同施設は企業が社員を対象に設置し、地域の子どもも一定受け入れるというものです。しかし、職員のいっせい退職や子どもの定員割れによる閉園のほか、立ち入り調査した施設の7割で職員配置や保育内容で指導を受けたことなどが明らかになっています。保育への自治体の公的責任の放棄、子どもの安全・安心を置き去りにした「質の低下」を招く政府の対策は、国民の願いに反します。

保育士が確保できずに保育所を開設できないケースも多い中で、保育士の処遇改善は緊急の課題です。労働者全体より月額7万円も低い現状を打開するには、政府の改善策(月3千円相当)では全く不足しており、大幅な引き上げが欠かせません。時間外労働やサービス残業が常態化する職場環境で「燃え尽きて」退職せざるをえない保育士も少なくありません。人員配置を手厚くするなど業務負担の軽減を本格的にはかることが極めて重要になっています。

消費税増税に頼らぬ道を
安倍政権が10月からの消費税率10%への増税と抱き合わせで実施する「幼児教育・保育無償化」も議論をよんでいます。「無償化」財源をめぐる市町村の負担増で、公立保育所の民営化が加速する危険などを指摘する声が上がっています。消費税増税に頼らず財源を確保し、安心の保育・子育て政策を拡充させることが重要です。

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