認可外保育 情報一元化…政府が新システム 運営内容など公開へ

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読売新聞さま
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政府は新年度中に、全国の認可外保育施設の運営状況などの情報を一元化して公表する情報管理システムを構築する方針を固めた。施設が国の指導監督基準を満たしているかなどを、都道府県などに登録するよう要請する。

厚生労働省は、認可外施設を指導監督する権限をもつ都道府県などの自治体に対し、立ち入り検査で改善指導した内容などを公表することや、基準を満たした施設には証明書を発行し、その旨を公表するよう求めている。

しかし、公表方法など統一した基準はなく、自治体間で取り組みに差があるのが現状だ。こうした実態に総務省は昨年、検査結果や保育士の数などの公表は、保護者らの安心や施設の運営改善につながるとし、厚労省などに、自治体に公表を促すよう勧告した。

新システムに登録する情報の項目は統一する予定。施設の定員や面積といった基本情報に加え、提携する医療機関なども含めることを検討している。

政府は、今年10月に始まる幼児教育・保育の無償化で、当初の5年間は経過措置期間として、国の基準を満たさない認可外施設も原則、無償化の対象にする方針だ。認可外施設は認可保育所より保育士の数や保育室の面積などの基準が緩く、「保育の質が確保できない」といった懸念の声もある。

システムの運用開始は、無償化が始まる10月には間に合わないとみられる。このため同省は4月にも保護者向けに、各自治体が施設情報を公表しているインターネットのサイト情報を、同省のホームページで公開する予定だ。同省の担当者は「施設の運営状況などの確認に役立ててもらいたい」と話す。

検査結果公表 自治体少なく

認可外保育施設への立ち入り検査結果など、保護者が子どもの預け先を選ぶ際に役立つ情報を公表している自治体は少ない。しかし、死亡事故が起きた施設では、それ以前の立ち入り検査で改善を指導されていたケースも目立つ。政府が認可外施設の情報を公表する意義は大きい。

このシステムは都道府県などの登録作業が必要だが、義務ではない。人手不足などを理由に、登録作業を行わない自治体が出てくる可能性もある。厚生労働省には、保護者の視点に立ち、積極的に自治体に働きかけていく姿勢が求められる。

また、児童福祉法などは、自治体が原則として年1回以上、施設への立ち入り検査を行うよう定めているが、施設の急増などのため、検査しきれていない自治体も少なくない。検査の実施率を高める方策も必要だ。(生活部 矢子奈穂)


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