子育て支援センターの所長「空席」に 佐賀市 保育士不足、全国で“争奪戦” [佐賀県]

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西日本新聞さま
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佐賀市が運営する市子育て支援センター「ゆめ・ぽけっと」(同市白山2丁目)。子育てに悩む親のケアや子どもの虐待を早期発見する役割を担う同センターの所長が、4月から事実上「空席」となっている。3月に退任した前所長の後任が見つからないためで、保育経験のない市役所の保育幼稚園課長が所長を兼務している。現場からは専従の経験者を求める声が出ているが、背景には保育業界の人材不足もあるようだ。

センターは再開発ビル「エスプラッツ」の2階にあり、2007年に開所。無料で未就学児用の遊具や図書のほか、授乳スペースや託児室を完備。子育てサークルや助産師の講座なども週2回のペースで開かれ、年間約3万人が利用している。未就園児や転勤で地縁がない家庭の利用が多く、子育てに悩む親の発見につながることもあるという。

市保育幼稚園課によると、開所した07年から8年間は市立保育園で園長経験のある女性が専従で所長を務めた。その後の3年間は保育士の職員を起用したが、この職員を市立保育園に充てる必要が生じたため、他に人材を求めたが見つからず、昨年4月から前所長が再登板していた。

しかし今年1月、健康面を理由に退職の申し出があり、当面は保育幼稚園課長を兼任させる方針をとったという。法的な問題はないが、課長は子育て相談業務の経験がないことを認めた上で「現場からは早く専従の所長を置いてほしいとの声がある」と話す。

所長の役割について西九州短大の米倉慶子教授(幼児教育)は「スタッフに的確な指示を出したり、時には自ら親に声を掛けたりしなければならず、現場経験が豊富でないと務まらない」と指摘する。

後任が見つからない理由には、保育業界の深刻な人材不足もあるという。センターでは多い時に保育士資格のある職員が正規・非正規合わせて10人いたが、現在は7人に減った。「求人を出しても集まらず、穴埋めができていない」(市担当者)からだ。保育士の「争奪戦」は全国的に起きており、10月からの幼児教育・保育の無償化に伴い、拍車が掛かる恐れもある。

米倉教授は「キャリアアップ研修など管理職になる保育士を育てる仕組みを、県を挙げて作らないといけない」と話した。

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