「少子化」という言葉は当たり前のように使われている…

少子高齢化のイラスト
西日本新聞さま
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「少子化」という言葉は当たり前のように使われている。では子どもの数が実際に減り始めたのは、いつからだろうか。実は平成より前の1982年。昭和の晩期にさかのぼる

▼15歳未満人口は同年に前年を下回って以来、38年連続で下降線をたどり、今年4月1日現在で1533万人にまで減少した。総務省が先日、こどもの日に合わせて概算値を発表した

▼戦後のベビーブームで、50~55年には子どもは約3千万人を数えた。それがほぼ半減した。人口に占める割合は75年以来、実に45年連続で低下し、今回の概算では12・1%(ピーク時は35・4%)だった

▼現場に花を手向ける人は絶えないようだ。連日報じられるニュースに胸が痛む。大津市で散歩中の保育園児が交通事故に巻き込まれ、2人が死亡した惨事。こどもの日の直後に起きた

▼国会では事故後の10日、くしくも改正子ども・子育て支援法が成立した。幼児教育・保育の無償化を図る施策が今秋、始まる。準備期間の短さなどに不安があるが、何より重要なのは幼い命をしっかり守り育てること。それに尽きる

▼交通事故の防止は当然として、子育て世代の支援や保育施設の拡充もあくまで諸施策の一部にすぎない。平成の世に顕在化した虐待、いじめ、ひとり親世帯の貧困…。課題は山積する。「子は国の宝」「社会全体で育てる」という当たり前のことも、令和の初めに当たり復唱したい。

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