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滋賀県東近江市は今年4月、認定こども園「市立ひまわり幼児園」(同市沖野3)に外国籍の園児向け教室を開設した。同市では外国人数が県内平均を上回る約2.9%を占め、特にブラジル国籍が多い。そこで母語であるポルトガル語の通訳が教室に常駐。母語が通じて安心できる場にし、日本語にも慣れ親しんでもらう狙いだ。未就学児の公立施設では先駆的な取り組みという。
「♪足を踏みならせるゾウ……」。音楽に合わせて、ブラジル国籍の女児らが日本語で声を弾ませ、左足で床を踏み鳴らす。教室名は「にこにこ」。3歳の男女4人が元気よく走り回る。「アブラッソ!」(ハグの意味)と言って、日系のブラジル出身で通訳の嶋田けい子さん(57)と抱き合う男児も。
同園は0~5歳児302人が通い、うちブラジル22人を含む26人が外国籍で、市内最多。「にこにこ」の対象は3~5歳で、4月入園の3歳児5人と、必要に応じて4、5歳児計3人が通う。現在は全員ブラジル国籍だ。日本語がある程度理解できる外国籍の子供は通常教室に在籍する。
昨年度までは、嶋田さんが職員室に常駐し、各教室に出向いていたが、4月からは保育教諭1人とともに「にこにこ」に常駐する。担当の澤居茉ヰ子(まいこ)保育教諭(36)はポルトガル語の「ムイトボム」(すごく良い)といった褒め言葉などを嶋田さんから教えてもらい、「ジェスチャーも交えて子供たちと意思疎通できるようになった」と喜ぶ。子供たちも「ただいま」などの日本語を話せるようになったといい、嶋田さんは「帰りたくないと言ってくれる子供も多い」と手応えを感じている。
平木初代園長(59)は「以前は言葉が分からなくて不安になったり泣いたりする子もいた。自分の思いを十分出せる場にしていきたい」と話す。
35カ国700人以上の外国籍の子供を支援しているNPO法人「青少年自立援助センター」(東京都)の田中宝紀(いき)さん(40)は「公立では聞いたことがない取り組みだ。子供のアイデンティティー形成や母語の保持という観点で望ましい。日本語の習得を急ぎ過ぎないよう注意も必要だ」と話している。【大澤重人】
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