
大津市大萱の県道交差点で乗用車と衝突した軽乗用車が、弾みで散歩中の保育園児らの列に突っ込み、園児2人が死亡するなどした事故を受けて、県警は県内の保育施設周辺で「可搬式速度違反自動取り締まり装置(オービス)」による速度取り締まりを強化している。可搬式オービスは、県警が昨年9月に近畿地方で初めて導入。取り締まり実施地点では、通行する車両の速度が低下するなどしており、県警はドライバーの安全意識の向上と事故抑止に手応えを感じている。
小型で持ち運びが容易な可搬式オービスは、従来は難しかった狭い道での取り締まりが可能で、少人数でも実施できる。九月の導入後に、通学路などの生活道路で百六十回ほど、取り締まりを実施。今月八日に起きた大津市大萱の事故以降には、園児たちが園外活動を行う保育施設周辺で実施したり、夜間の幹線道路などでゲリラ的に実施したりもしている。
可搬式オービスによる速度違反などでの検挙は、三月末までで七十三件。検挙されたうち、約二割が制限速度を三十キロ超えており、五十キロ超えていた車両もあった。
取り締まり実施日の前後一週間で、通過車両の速度を比較したところ、約九割の地点で平均速度が低減し、中には平均で十キロ低下している地点もあったという。
可搬式オービスを使った取り締まり=守山市今市町で
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三十日には、守山市今市町の市立河西幼稚園付近でも、可搬式オービスによる速度取り締まりと、横断歩行者妨害違反の取り締まりを実施。署員が、可搬式オービスを使って速度超過の車両がいないか確認したり、園児が横断歩道を渡る時に車両や自転車を止めるなどした。
県内では今年、二十九日現在で計二十九件の交通死亡事故が起き、前年同時期と比べて十三件増加している。そのうちの四件では、中学生以下の子どもが亡くなっている。
可搬式オービスでの取り締まりについて、県警交通指導課の担当者は「狭い道路でスピードを出す悪質な運転への抑止力は大きい。子どもたちの命を守るために、引き続き効果的な運用を考えていく」と話した。
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