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少子高齢化と人口減少が同時進行する苦境をどう乗り越えるか。平成の日本が背負った命題は、令和にあっても変わらず、状況は今後さらに深刻化する懸念もある。新時代の初めに当たり、社会全体でいま一度、危機感を共有し、中長期的な視点で解決策を探っていきたい。
総務省が先月発表した人口推計(2018年10月1日現在確定値)によると、総人口は1億2644万人(前年同期比26万人減)と8年連続で減少した。
減少幅はまだ小さいように見えるが、この数字は在留外国人を含んだものだ。日本人に限ると1億2421万人で、前年比43万人も減った。死亡数が出生数を上回る人口の自然減は07年に始まり、一向に歯止めがかかっていない。
背景には“平成の教訓”として重要性が意識された人口減対策の遅滞がある。
「1・57ショック」。1989(平成元)年の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子の平均数)は、こう表現された。それまで最低だった66年の1・58を下回る数字が示され、少子化の進行が顕在化したからだ。
しかし、国が少子化社会対策基本法を制定して本格的な取り組みを始めたのは2003年だった。1989年の高齢化率はまだ11・6%と低く、長寿化の恩恵で人口の増加がしばらく続いた。そのため危機意識は乏しく、高齢化の加速や人口減に対応する諸施策は後手に回った。
現在の安倍晋三政権は人口1億人の維持を目指し、子育て関連施策を推進している。今国会では、幼児教育・保育の無償化を図る改正子ども・子育て支援法が成立した。こうした取り組みは遅まきながらも、今後一層強化していく必要がある。
基本法に基づく第3次少子化社会対策大綱(2015年策定)は、少子化について「社会経済の根幹を揺るがす危機的状況」との認識を示した。その上で、若者の雇用安定、結婚支援、貧困世帯の解消、長時間労働の是正、女性の多様な働き方、小児医療の充実など「社会全体での行動」をうたっている。
本年度はこの大綱の見直しが予定され、子どもの虐待やいじめ対策の強化などが焦点になるとみられている。私たちも、こうした動きの当事者として問題意識を共有する必要があろう。
九州でも少子高齢化は進んでいる。一方で、合計特殊出生率(17年統計)は7県とも1・5(全国平均1・43)を上回る。温暖な気候、豊かな自然・食に恵まれた環境など、子を産み育てるための潜在力は高いとみられている。地域の姿を見据え、その特性も生かしながら、地道な取り組みを進めたい。
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