「AI教師」や2画面電子ペーパー、小型手書きPC - 拡大する教育ICT最前線

テクニカルエバンジェリストのイラスト(女性)
マイナビニュースさま
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教育分野における日本最大級の専門展「第10回 教育ITソリューションEXPO」が6月19日から21日まで、東京ビッグサイト青海展示棟にて開催されました。デジタル教材、eラーニング、各種学校向けサービスが一堂に会する会場では、どんな展示が来場者の注目を集めていたのでしょうか。

AIが生徒のつまずきやレベルに応じた問題を出題する――将来、そんな“AI教師”が登場するかもしれません。

COMPASSは、AIによる個別最適化学習(アダプティブラーニング)を実装したタブレット教材「Qubena(キュビナ)」を紹介しました。Qubenaは、AIが1人ひとりの学習データから得意・不得意を分析し、解くべき問題を提案します。「間違え方を解析するだけでなく、過去の解答ログも参照します。その上で、どの段階で理解していないかをAIが判断するので、生徒は自分に最適な問題を解き続けることが可能になります」と担当者はアピール。小学算数、中学数学、高校数学IA・IIBのほか、新たに英語にも対応する予定。千代田区立麹町中学校、近畿大学附属中学校など、すでに学校への導入も進んでいるとのことでした。

インパクトが強かったのは、グイドミュージックが紹介していた、世界初をうたう2画面電子ペーパー「GVIDO(グイド)」。実際に手に取ってみると、13.3インチの見開き2画面は見やすさ抜群でした。重さもわずか660gしかないため、長時間の手持ちでも疲れず、また譜面台に乗せても安定します。ブースの担当者は「音楽大学の授業に、中高の部活動(吹奏楽 / 合唱部など)に、また音楽以外の科目にもお使いいただけます」と説明します。

2画面電子ペーパー「GVIDO」
ディスプレイに表示できるのはPDFファイル。ストレージは8GBで、楽譜をPDFにすれば約4,000曲分を保存できるため、分厚い教材や楽譜を持ち運ぶ必要もなくなりそうです。なおmicroSDカードにも対応。もともとは譜面をデジタル化する目的で開発された本製品。足でページをめくれるペダルも用意されていました。

あの「ロボホン」でプログラミング学習
シャープのブースでは、ハードウェアとソフトウェアの両方から教育現場をサポートする取り組みが紹介されていました。まずはハード面ですが、グループ傘下になったdynabookシリーズを大きくフィーチャーして「dynabookシリーズなら、教育現場のニーズに応えられます」と説明します。

シャープのブースには、dynabookのロゴが輝いていました
例えば小学生は、低学年のうちはキーボードを使わず、しかし学年が上がると使うようになります。そこで、ブースの担当者は「dynabookシリーズでは、液晶ディスプレイが360度開いてタブレット端末としても利用できる2 in 1型のコンバーチブルPCや、キーボードが外せる2 in 1型のデタッチャブルPCを用意しています。小学生の学習用としても最適です」とアピールします。また充電式アクティブ静電ペンを使った手書き入力にも対応しているため、手で書いて覚える学習にも活用できます。

ディスプレイを360度、パタンと折り畳めるコンバーチブルPCならキーボードが打てない小学生にも使いやすい。静電ペンの書きやすさも魅力のひとつ
子どもの学習用PCには、小さな手で扱えるくらい軽量・小型であること、多少乱暴に使っても故障しないことなども重要。この点においても、アメリカ国防総省制定MIL規格に準拠した、軽量で持ち運びやすいdynabookシリーズが優位であると担当者。校外学習など、学校生活の様々なシーンで安心して使えますと説明していました。

次にソフト面ですが、最も”シャープらしさ”が出ていたのが、ロボホンを使ったプログラミング教育の提案でした。子ども向けのプログラミング言語 Scratchにロボホン専用のブロックを組み入れることで、低学年の児童でも簡単にロボホンを動かせるようになるとアピールします。2本足で歩き、喋り、踊る可愛いロボホンを前にして、心がときめかない人はいないでしょう。実際のところ「自分でも動かしてみたい」と、プログラミングの学習にも熱が入るんだそうです。




ロボホンを使ったプログラミング教育を提案
ブースの担当者は「作成したプログラムをスタディノートで共有すれば、学年間や学校間で評価し合うことも可能です」と話します。スタディノートとは、シャープマーケティングジャパンが提供する教育用基本ソフトウェアのこと。子どものタブレット端末のデータをネットワークで同期することで、グループで共同制作したり、情報交換したり、1人ひとりの表現をクラス全体で共有したりできるほか、教師が生徒の思考の過程をたどるストローク再生などにも対応しています。

ペンから音声が流れるスピーキングペン
NeoLABでは、スピーキングペンを紹介していました。幼児教材や、外国語クラスの発音指導など、あらゆるシーンで活用できるペン型のデバイスです。使い方は簡単で、音声で説明して欲しいところにペン先を当てるだけ。すると、ペンのスピーカーから対応した音声が流れます。これは一体、どんな仕組みなのでしょう。

NeoLABのスピーキングペン。小学館の幼児教室 ドラキッズや、アルクの英語教室など、様々な企業で導入が進んでいます
その秘密は、教材側にありました。紙には肉眼で見えないほど細かなコードが打ってあり、NeoLABのスピーキングペンは、内蔵するカメラでそのコードを読み取っているわけです。ブースの担当者は「これまで、音声が再生できる教材といえばCDが付属するタイプが主流でした。でもプレイヤーを用意しなければならず、トラックの頭出しも面倒です。ペン型のデバイスなら手間がいらず、また学習が進んでもCDが増えてかさばるようなこともありません」と説明していました。

このほかのブースの模様も、ダイジェストで紹介していきましょう。

NHKエデュケーショナルでは、Eテレの番組を制作しているノウハウと撮影技術を活かしてVRコンテンツを提供していきたい考えです。例えば、星や月の日周運動、太陽の年周運動などを360度動画にすれば、理科の体験学習が実現できます。田んぼ、ゴミ処理場、下水処理場などで撮影した映像は社会の授業用に。外国の街なかで撮影した映像は、英語の授業に向けて。国語の文学作品で描かれる世界を疑似体験して、子どものイマジネーションを喚起するのも良いでしょう。いずれのケースでも、強烈な”引き”とともに学習意欲を掻き立てる効果が期待できます。

サカワは、ウルトラワイド超短焦点プロジェクター「ワイード」を紹介しました。アスペクト比16:6に対応しており、学校の黒板全面に映像を投影可能。PCとHDMIケーブルで接続すれば、最大140インチの大きさで写真や動画も投影できます。このほか方眼紙を投影すれば算数や数学の授業に活用可能。英語の授業用に4色の罫線を引くこともできます。




黒板に映し出せるプロジェクター「ワイード」。東海大学付属相模高等学校や、愛知県立大洲高等学校などで導入が進んでいます
「まなビューア」は光村図書、大日本図書、開隆堂、教育芸術社、日本文教出版が採用しているデジタル教科書のプラットフォーム。文字の拡大・縮小はもちろん、ワンタップで総ルビにしたり、英語なら発音を確認したり、国語なら文章を読み上げたり重要なところにマーカーで線を引いたり、といったことに対応しています。社会の教科書では、例えば断層の様子を高精細な4K映像でチェック。音楽の教科書では、混声合唱のソプラノだけ、アルトだけ、といったように声部を指定した再生も可能となっていました。

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