幼保無償化 朝鮮幼稚園保護者が大阪府・市へ適用要請「除外は行政による差別」

人種差別のイラスト(アジア人)

毎日新聞
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 改正子ども・子育て支援法(10月施行)による幼児教育・保育の無償化の対象から朝鮮学校付属の幼稚園が除外されることを受け、保護者らでつくる「朝鮮学校付属幼稚園大阪保護者連絡会」は18日、大阪府と大阪市に対し、国への適用に向けた働きかけや独自の救済措置を求める要請文を提出した。同会は「無償化の適用除外は行政による差別だ」と訴えた。

 政府は10月から増税される消費税を財源に、幼児教育を無償化する方針を公表。子育て世代の負担を軽減させ、少子化に歯止めをかける狙いがある。ただ、内閣府は朝鮮学校付属の幼稚園など一部について「各種学校とみなされ無償化の適用外となる」と説明する。

 同会は、学校法人大阪朝鮮学園(大阪市)が運営する府内八つの付属幼稚園に通う園児の保護者ら18人で今月7日に発足した。

 要請文では「学園の保護者も納税義務を果たしている」とし、無償化適用の正当性を主張。除外は「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」とする同法の基本理念にも反すると指摘する。

 大阪府庁で要請文を提出した保護者らは、担当職員を前に「各種学校というだけで除外される明確な理由が分からない」「大人が差別の種を子どもたちに植えてはいけない」と次々に思いを訴えた。

 要請文提出後には、府庁で記者会見した。次男を大阪市東淀川区にある朝鮮学校付属の幼稚園に通わせている金亜紀(キムアギ)さん(35)は「私たちは子どもが民族を否定せず、朝鮮学校で歌や踊りを学べることを大事に思っている」と話し、「無償化の除外によって、金銭的にしんどいだけではない。人権が行政によって否定されている」と憤りをあらわにした。

 一方、大阪市の松井一郎市長は無償化の適用について、報道陣の取材に「国が決めることで、個別の事案に市が独自に行動を起こすことはない。国への働きかけもしない」と回答。府教委の担当者は「意見を持ち帰り、共有させてもらう」と述べるにとどめた。

 教育の無償化を巡っては、2010年に当時の民主党政権が高校無償化を導入したが、その後に政権に復帰した自民党政権が朝鮮学校を無償化の対象外とした。【石川将来、林由紀子】

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