拡充と利用増「いたちごっこ」 幼保無償化で待機児童どうなる 自治体も影響読み切れず


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10月1日から幼児教育・保育の無償化がスタートする。消費税増税に伴う税収増の一部を財源として、政府は、出生率の向上や女性の就労率の改善を狙うが、一方で保育の利用増が待機児童の増加を招く懸念もある。無償化で保育はどう変わるのか。保護者だけでなく、幼稚園や保育園、認定こども園なども影響を測りかねている。

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 今月、神戸市内6カ所で開かれた保育施設の利用説明会。西区民センターには乳幼児を連れた保護者ら20人が集まった。

 「待機児童が多いと聞いています。職場復帰が迫っているのですが、ちゃんと預けられるんでしょうか」。保護者らが切実な表情で問い掛ける。

 「ご家庭の状況によります。まずは担当者に相談してみてください」。区の担当者が丁寧に答えた。

 生後8カ月の長男を連れて参加した育児休業中の会社員の女性(27)。遅くとも来春の職場復帰を目指すが、「西神ニュータウンの保育園や認定こども園はどこも人気で入れそうにない」と声を落とした。

 無償化の対象は3〜5歳児。0〜2歳児は年収が低い住民税非課税世帯に限られる。それでも無償化が呼び水となり、さらに待機児童が増えることが気掛かりだ。「無償化はありがたい。しかし、待機児童の解消を優先してほしい…」

 自治体なども影響を読み切れていない。

 「入園希望者がどれくらい殺到するだろうか」。2016年9月に第2子以降の幼児教育・保育を無償化した兵庫県明石市。待機児童緊急対策室課長の勝見圭吾さんは不安を隠さない。

 同市の待機児童数は今年4月時点で412人と、東京都世田谷区に次いで全国ワースト2位だった。

 無償化してから同月まで保育園や認定こども園などの定員を毎年800〜2千人規模で拡充してきた。しかし、市への転入や利用希望が殺到する「いたちごっこ」が続く。

 今回の無償化に合わせ、20年度はさらに約1200人の受け入れ拡充を目指す。「待機児童数より拡充する枠の方が多い」と勝見さん。「しかし結果はふたを開けてみないと分からない」と、気を引き締める。

 兵庫県内では、幼稚園で1日の日程を終えた後に子どもを預かる「預かり保育」の人気が高まっている。10月から月1万1300円まで無償になるためだ。

 神戸市垂水区で2児を育てる女性(39)は、私立幼稚園の預かり保育を利用しながら週4日程度のパート勤務をこなしてきた。しかし「この春から、働き始めるお母さんが多くなり、預かり保育の予約が取れないことが増えた」とこぼす。

 無償化を見越して、働く母親が目立ってきたためといい、10月以降はさらに利用者が増えるのではないかと不安を募らせる。

 「無償化よりも預けたい時に預けられるようにする方が、母親たちの就労を後押しできるのに…」


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