園児らの散歩コースに「危険箇所」1万6249カ所 政令市など 道路なお「車中心」

毎日新聞

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大津市で2019年5月、散歩中の保育園児ら16人が車同士の衝突に巻き込まれて死傷した事故を受け、道府県庁所在地と政令市、東京23区の計74自治体が園児らの散歩コースを点検した結果、安全対策が必要と判断された「危険箇所」が少なくとも1万6249カ所に上ることが毎日新聞のまとめで判明した。8割にあたる61自治体がガードレール設置などの対策に乗り出した。専門家は「道路整備の考え方を、車中心から歩行者中心に変えることが重要だ」と指摘している。


危険箇所の数
 国は大津の事故の翌月、未就学児が散歩などで日常的に集団で移動する経路を緊急点検するよう自治体に通知した。毎日新聞は19年12月~20年1月、道府県庁所在地46市とそれ以外の5政令市、東京23区を対象に点検に関するアンケートを実施し、全てから回答を得た。幼稚園については都道府県が担当との理由で未回答の自治体もあった。

 回答によると、全自治体で点検し、対象の幼稚園、保育園、認定こども園など計1万9937施設のうち86・9%の1万7334施設が既に終えた。

 危険箇所の内訳は、幼稚園1666カ所▽保育園1万71カ所▽認定こども園2139カ所▽その他(特別支援学校の幼稚部など)2373カ所。自治体別では、名古屋が2438カ所と最も多く、大津1138カ所▽京都1027カ所▽福井597カ所▽横浜594カ所――と続いた。東京23区の合計は2293カ所で、名古屋の次に多かった。

 実施・検討中の安全対策(複数回答)を尋ねたところ、「ガードレールやガードパイプ、金属ポールの設置」が61自治体と最多。「ラインやグリーンベルト、路側帯の新設」が55自治体、「歩道の新設、拡幅・改良」が31自治体で、ハード面の対策は進みつつある。

 一方、保育施設などの周辺で時間を区切って車の通行を規制する「キッズゾーン」の導入は24自治体と全体の約3割。国が19年11月におおよその基準を示したが、具体的なガイドラインがないことなどから、様子を見ているケースが多いとみられる。散歩など施設外で活動する子どもを見守るための要員「キッズガード」の導入は大津を含む14自治体と、2割弱にとどまった。徳島市は「事故が起きた場合にキッズガードがどこまで責任を負うかが曖昧。国が定義を明確にしない限り、導入できない」と指摘した。

 国に求める対策(複数回答)は、58自治体が「安全対策に関する国の補助金創設や増額」を挙げ、「事故抑止のための道路交通法の罰則強化」が22自治体、「キッズガードの制度化」が14自治体だった。【諸隈美紗稀】

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