突然の休校「対応しきれない」 学校・学童保育が混乱


日経新聞
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授業の穴埋めは、卒業式は――。新型コロナウイルスの感染拡大で、突然打ち出された小中高校の休校要請から一夜明けた28日、学校現場は朝から対応に追われた。「急すぎる」。政府は週明け3月2日からの休校を求めており、応じれば28日が学年最後の1日となる。民間託児所や学童保育には働く親からの問い合わせが相次ぎ、「受け入れに限界がある」と頭を悩ませた。

「こうした判断もあるとは思っていたが唐突で驚いた」。東京都練馬区教育委員会の担当者が慌ただしげに話す。要請を受け、28日朝までに3月2日から区立小中学校約100校を休校とすることは決めたが、授業時間不足への対応策や在校生への通知表の渡し方をどうするかは検討中だ。28日も朝から教委内で協議を続けている。

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名古屋市教育委員会も28日午前9時半、市立小中学校約370校などに3月2日からの臨時休校を通知した。担当者は「27日夜は休校の判断だけで精いっぱいだった」と明かす。「決まったことは随時学校に伝えるが、具体的な対応は学校に委ねることになる」

3月1日に卒業式を予定している高校が多い広島県。同県教委の担当者は「きょう1日で卒業式の実施の判断や休校の対応をどうするか決めないといけない」と焦る。3月5~6日に公立高校の入試を控え、保護者からの問い合わせも相次いでいる。

■保護者「託児所空きあるか」
一斉休校で週明けから申し込みの増加が見込まれる各地の託児施設も準備や対応に追われる。

名古屋市中区の民間託児所は28日朝から対応を検討。すでに保護者から「空きはあるか」「何歳まで受け入れ可能なのか」などの問い合わせが数件あり、定員増も検討しているがスタッフの確保やスペースの問題で限界がある。担当者は「何から考えていいのかわからない。とにかく時間がない」とこぼした。

東京都台東区の託児施設「パンダ託児所」は27日夜、SNS(交流サイト)に「予約には制限人数があり、受け入れができない場合もございます」と投稿した。保育士は常時2人態勢で、すでに3月前半の勤務シフトも組んでいる。崎村健太郎代表は「できるだけ受け入れたいが、急な増員は難しい。時間帯によっては断らざるを得ないだろう」と話す。

■学童保育「朝から開所できるか課題」
厚生労働省が「原則開所」を求める学童保育にも戸惑いが広がる。

「月曜から子どもを受け入れてもらえますか?」。千葉市には政府が一斉休校を表明した27日夜以降、小学生の保護者からの問い合わせが相次いだ。市の担当者は「年度末で有給休暇が残っていない親もいる。相当数の新規申し込みが予想され、通常手続きの手順を踏んでいては間に合わない」。

児童を受け入れる「子どもルーム」は市内に165カ所あり、約9千人が利用登録している。児童福祉法には児童1人当たりにつき一定の床面積の確保を必要とする規定があり、担当者は「基準を満たす形で受け入れるのは難しくなる恐れがある。指導員も慢性的に不足気味で、朝から開所できるかという課題もある」と話す。

区内35施設で学童保育を受け入れる東京都港区も、28日朝から保護者から数十件の問い合わせがあり、電話対応に追われていた。担当者は「今日中に受け入れ態勢の結論を出さなければならないが、急な方針で何も決まっていない」と明かす。

受け入れ手続きでは児童のアレルギーの有無など慎重な確認も求められる。「あまりに多くの児童を受け入れれば休校する意味合いも薄くなる。難しい判断になる」と悩んでいる。

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