中日新聞様
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発達障害の子どもを診療する県立子ども心身発達医療センター(津市)の児童精神科で、初診の予約が取りづらい状態が続いている。一月から始まった新年度の予約は既に九月上旬まで埋まった。県は常勤医を増員したものの需要に追いついていない。新年度は発達障害を診察できる地域の医療機関を増やすため、小児科医の育成などを進める。
センターは発達障害や身体障害のある子どもたちの病院や特別支援学校を一体化し、二〇一七年六月に開設した。児童精神科の初診は現在、週五日で十九人を受け付けている。同科は開設当初から、一月に始める次年度末までの初診予約が夏ごろには埋まってしまう状況が常態化していた。
一七~一八年度、児童精神科のある県内の病院四カ所が、担当医の高齢化などで閉院したり、初診の受け付けを停止したりしたため、センターに予約が集中しているという。
さらに発達障害に対する保護者世代の関心の高まりも要因とみられる。乳幼児健診で言葉の遅れや落ち着きのなさなどを指摘され、インターネットなどで調べて早期の診察を求める人が増加。最も多いのは小学校低学年で、集団生活や学習といった環境の変化になじめない子どもの様子に不安を感じる保護者がセンターに来るという。
一方で、県子育て支援課の担当者は「必ずしもセンターでの治療が必要のない子どもも来ている」と指摘する。症状が重度ではなく、教育機関や療育施設での支援が適切と判断される子どもたちだ。
県は保育所や幼稚園では、発達に課題がある子どもを早期に発見し、支援につなげる「チェック・リストin三重(CLM)」を導入している。CLMで治療が必要と判断されれば、センターでの診察につなげる一方、そうでない子どもには保育所や療育施設で個別に支援する。
この取り組みのおかげで、保育・幼稚園児の初診は減少傾向にあるという。ただ、対象でない小学生以上をいかに適切な支援につなげるかは課題として残ったまま。県は一九年度、三重大病院などから医師を集め、児童精神科の常勤医を七人から十人に増員したが、予約が取りづらい状態はあまり改善していない。
新年度予算案には対応事業として五百八十一万円を計上。小児科医を対象に発達障害児の診察を学ぶ研修を開き、地域の医療機関で初診を受け入れる体制を整える。症状が軽い子や服薬管理のみの子はセンター以外で対応するなど役割分担も図る。県子育て支援課の担当者は「地域にネットワークをつくり、状況を改善したい」と話した。
(熊崎未奈)
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