学校再開2カ月、登校渋る相談増加 保健室利用も増 専門家「頑張りほめて」


福井新聞
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 福井県内の学校は長期の休校を経て6月に再開し、児童生徒は新たな様式で学校生活を送っている。スクールカウンセラーの一人は、表だった変化や影響は見えていないとしながらも「登校渋りや保健室に訪れる子どもが増えている印象。不安があったら、早めに相談してほしい」と呼び掛けている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県内の小中学校と高校、特別支援学校は3月から臨時休校に入った。5月からは授業動画の配信や学年、クラスごとの分散登校を行い、約3カ月ぶりとなる6月1日に学校を再開した。
 
 県公認心理師・臨床心理士協会長でスクールカウンセラーの岡本克己さんは「不登校が極端に増えることを懸念していたが、保護者や学校などが協力し合って何とか防いでいる」と話す。休校明けから休みがちになった子どももいるが、不登校の児童生徒の中には分散登校のような少しずつ集団に慣れるスタイルが奏功し、学校に通えるようになった子どももいるという。
 
 一方、登校を渋る児童生徒の保護者からの相談は増えつつある。休みが続く生活に慣れてしまった上に、校内では他の子どもと距離を保つことが求められるなど、以前とは勝手が違う学校生活に不安が高まるのだという。岡本さんは「まずは学校へ送り出し、登校できたときはしっかりとほめてほしい」と呼び掛ける。
 
 中学の養護教諭からは、保健室に訪れる生徒が休校前より増えたとの声が聞かれる。体調不良のほか、1日通して学校にいるつらさ、体力低下によるけがの心配、感染の不安など、悩みは多岐にわたっている。
 
 平谷こども発達クリニック(福井市)によると、発達障害がある子どもたちは休校中、かんしゃくを起こすなど心身の変化が大きかったものの、次第に落ち着きつつあるという。しかし中には、学校が始まって頭痛を訴える女子児童や、1カ月以上の自粛を経て登園したところ緊張感から腹痛が続いている園児もいる。医師の平谷美智夫理事長は、休校期間の学力差の拡大も懸念し「学力を保障するためにも個別対応が必要ではないか」と指摘する。
  
 岡本さんは「今は不安を抱えながらも目の前のことをしなくてはいけない時期。生活が落ち着いてきた時にふとわれに返り、不安感が認識される」とこれから相談が増えるとみている。感染症対策が加わった教員の負担増も懸念し「保護者、子ども、学校は未知の経験に対しそれぞれ頑張って対応している。不十分な部分を責め合わず、おおらかな気持ちで過ごして」とアドバイスしている。


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