毎日新聞様
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、愛知県内では緊急事態宣言下の4~6月、多くの幼稚園や学校が休園・休校措置をとったが、保育園では保育が必要な園児の受け入れを続けた。この間、感染防止に向けてどう対処したのか。そこで見えてきた課題は。各地で感染が再び広がる中、名古屋市の「たんぽぽ保育園」、加藤雅美園長に聞いた。【聞き手・細川貴代】
――新型コロナで保育園にどんな影響があったか。
◆感染拡大の中でまず悩んだのが行事。3月の卒園式と4月の入園式は参加者を限定し、規模を縮小して実施した。
4月初旬まではほぼ全員登園していたが、13日から徐々に登園自粛が増えた。登園児は4月で平均約56%、5月で同52%、最も少ない時で30~40%。登園した子の保護者は医療従事者も多かったが、職種に限らず必要な家庭は登園してもらった。
――保育現場はどう対応したのか。
◆基本的な予防策を徹底し、職員も体調に注意した。行事も縮小して実施するなど、可能な限り楽しいことをしようと常に努力している。ただ普段の保育現場では「3密」は避けられず、マスク着用も小さい子には弊害が多い。
ある園では、園児たちがマスクなしで公園にお散歩に行き、住民に注意を受けたとの話も聞いた。子どもは友達との関係の中で育つことが大事で、子ども同士の接触も避けられないし大切にしたい。そのことが社会に知られてないと感じた。
また、園では24時間、緊急一時保育も実施しているが、幼稚園の休園で子どもの預け先に困る家庭から「保育園を使いたい」との問い合わせが多数あった。幼稚園児がいる保護者にも仕事を持つ人は増えており、利用できないことで本当に困る人も多いのではと感じた。
――自治体の中には、保護者に「登園中止」の要請をして、預かり可能な家庭について、「原則、保護者が両親とも医療従事者など安全な社会の維持に不可欠な職種のみ」とするなど利用を厳しく限定するところもあった。
◆私たちの園でも保護者に登園自粛協力をお願いし、かなり協力をしてくれた。そんな中でも、子どもを自宅で見ながら仕事が難しい人など、必要な家庭には利用してもらった。また、子育てが難しい家庭には頻繁に「連れてきても大丈夫だよ」と声をかけ、続けて園を休む状態がないよう気をつけた。自粛中でも、保育園を必要とする人が多かったということだ。
また、長期に登園自粛をしている家庭には、親の育児ストレスが心配されるため、職員が個別に電話で状況を聞くなどした。休んでいる家庭にも往復はがきを出して様子を聞いた。「来ないからいい」のではない。保護者も非常に困っており、保育園ができることを考えた時、保護者や子どもとつながることが大事だと考えた。
――見えてきた課題は。
◆医療職に限らず、緊急事態宣言下でも働かざるを得ない人や支援が必要な人がいた。保育園は保護者にも社会にも必要な場で、重要な役割があると再確認した。だが、園によっては必要な家庭も利用できない状況があった。どの保育園でも必要な家庭には対応すべきだ。
ただ、受け入れができなかった背景には、園側に、感染拡大の中で保育を行うことへの保証を国や自治体がどこまでやってくれるのか、などの心配もあったのではないか。国や自治体は、運営継続を決めた以上は保育現場や職員への対応を考えるべきだ。
また「3密」を避ける意味でも、普段の保育園のスペースは狭いと改めて実感した。園の面積基準や職員の配置基準の改善についても見直す必要があると思う。
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