「待機児童」都市でも「0人」の秘密 背景に男女平等度も?#コロナとどう暮らす


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 新型コロナウイルスの感染拡大で、移住を考える人も多い。国の公表資料を基にしながら「待機児童」について、独自にランキングをまとめた。自分の住みたい街はどこなのか。

 16年に「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログの存在が国会で言及され、大きな社会的注目を集めた待機児童。保護者が保育園の利用を申し込みながら、入所できない子どもを指す。


 19年、今年ともに待機児童ゼロの主な都市をまとめた。都心部で子育て世帯から人気が高いのが杉並区(東京都)だ。


 同区南阿佐ケ谷に住む林漢傑(36)、鈴木歩(36)夫妻は、ともにプロの囲碁棋士。多忙な中、2人の女の子を育てる。


「杉並は23区内でもとりわけ保育に熱心。子どもは2人とも第1希望の園に入れました」(鈴木さん)


「交通の便が良い上、公園など緑も多い。働きながら子どもを育てるのにとても良い地域です」(林さん)


 同区では13年、待機児童数が285人を記録。区内の母親を中心に「保育園ふやし隊@杉並」が結成され、注目を集めた。区は認可保育所の整備を進めたが、それを上回るペースで入所希望者が増加。16年には「すぎなみ保育緊急事態宣言」が発令され、対策本部が設置された。区子ども家庭部長の武井浩司氏は、「待機児童解消を区内の最優先課題に据えるという区長の強い意思を打ち出したのが、この緊急事態宣言でした」と振り返る。取り組みの結果、保育園数は10年前の102から今年は255に(認可外を含む)。待機児童数は3年度連続でゼロとなった。


 厚生労働省の定義では保護者が求職活動を休止中の場合や特定の保育所を希望する場合は、待機児童に含まれていない。数字を見る上では、これら「隠れ待機児童」にも注意が必要だ。


 19年の待機児童数は全国ワースト1位の470人だったが、今年は「0人」と発表した世田谷区(東京都)。同区では自宅から30分未満(2キロ以内)で登園可能な位置に空きがあっても入所していない児童を、対象から外している。今年はその数が474人だった。保育認定・調整課担当者は「国基準では実質0人でも、実際はまだまだ区民の希望に沿えていない部分がある。今後さらに、ミスマッチの背景などについて分析を進めたい」と話す。


 東北大学大学院経済学研究科の吉田浩教授が、全都道府県を対象とした男女平等度指標ランキングを作成している。最新版である今年のランキングで首位は京都府。京都市は7年連続で「待機児童ゼロ」を達成したが、関連性はあるのか。


「調査では子育て・教育など六つの指標を設け、県別のスコアを算出しています。待機児童に近いところでいうと『義務教育前教育修了率』がある。京都府は、こちらを含むほぼ全スコアが満点でした。それだけ社会的な意思決定に女性が関われているということだと思います」(吉田教授)



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