園児の「3密」 悩む保育園・幼稚園 ふれ合い、成長に必要 過度な制限、ストレス


北海道新聞

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 保育園や幼稚園などが新型コロナウイルスの感染対策に苦慮している。各施設ともこまめな消毒や行事縮小など知恵を絞るが、大勢の子どもを一度に見守らざるを得ない上、保育には抱っこなどのスキンシップや子ども同士の遊びが欠かせず、「3密」(密閉、密集、密接)を避けるのは難しい。過度な予防は子どもたちへの精神的なストレスも懸念され、専門家は「感染対策と健全な育ちのバランスを考慮する必要がある」と指摘する。

 「おはよう。入る前に手きれいにしようね」。札幌市厚別区の認定こども園「新さっぽろ幼稚園・保育園」で、登園してきた子どもたちに消毒液を手にした教諭が呼びかける。

 同園を含めて札幌市内で認定こども園や幼稚園など計14カ所を運営する学校法人大藤学園では、新型ウイルスの感染拡大以降、登園前に自宅で検温してもらい、園庭前での消毒を徹底。新型ウイルスについて絵本を制作して子どもたちに注意点を伝えたり、園内の予防策や子どもたちの様子を保護者に動画配信したりと工夫を凝らす。

マスク着用求めず
 一方、保育中は子どもにマスク着用を求めていない。マスクを落としたり、汚したりして、衛生的に逆効果になることも多いためだ。教諭に抱っこを求めたり、子ども同士で遊んだりすることも、健全に成長するためには必要とされ、制限するのは難しい。同学園の大谷壮史教務局長は「保育の場で『密』を完全になくすことはできない。その前提に立った上で、できる限りの対策や発信をするしかない」と話す。

 全国私立保育園連盟が今年6月、全国約2千カ所の保育園で実施した新型ウイルスに関する調査では、困難や不安を感じることについて約6割が「衛生管理と通常保育のバランス」と回答した。旭川市の北星おおぞら認定こども園の杉山祐介園長は「保護者の負担を考えると安易に休園にはできず、開ければ感染のリスクは消えない。毎日が手探りだ」と吐露する。

 新型ウイルスへの警戒が長引く中、子どもたちのストレスを心配する声もある。札幌協働保育園(厚別区)では、運動会を時間ごとに3部制に分けて密集を防いだり、おもちゃや遊具を消毒するなどの対策をとる一方、保育時は通常通りの対応を心がける。久松曜子園長は「感染は不安だが、子どもたちが安心できる環境づくりも欠かせない」。


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