教諭確保へサイト開設 採用競争激化に危機感


神戸新聞


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 兵庫県三田市内の私立幼稚園(認定こども園)10園が共同で、職員を採用するためのウェブサイト「リモート就職フェア」を立ち上げた。保育の様子や職員の働きがいなどをまとめた約3分の動画は、各園のスタッフが編集した。背景には、周辺自治体との採用競争が激化していることへの危機感がある。新型コロナウイルスの影響で採用日程がずれ込み、新卒学生に早く情報を伝えたいと取り組んだ。(高見雄樹)

 リモート-は、10園でつくる市私立幼稚園連合会のウェブサイト内に特設ページとして、今月立ち上げた。同サイトには常時、各園を紹介する1分間の動画を掲載している。特設ページは期間限定で、若手教諭へのインタビューなど採用に絞った約3分間の動画を誰でも閲覧できる。

 保育士や幼稚園教諭などの就職希望者は、興味を持った園があれば園と直接連絡を取り、採用プロセスに進む。初回は今月5~7日だったが、関係者を含めても約20件の閲覧にとどまった。

 今後は8月29~31日▽9月7~9日▽25~27日-の計3回を予定する。いずれも平日が午後5~9時、土日が午前11時~午後3時。

 同連合会がPRに力を入れるのは、職員の獲得競争が激しさを増しているからだ。認定こども園化などで、時間外の預かり保育や給食のスタッフが増加。教職員数は10年間で1・7倍に増えた。

 一方、隣接する神戸市や西宮市などは待機児童の解消を目的に、家賃補助や一時金などで保育人材の確保を支援する。三田市も2019年度から家賃補助制度を設け、本年度は約250万円を予算措置しているが、昨年の制度利用者は1人にとどまった。手厚い制度がある自治体に人材が流れる傾向は強まっている。

 市内の各園は毎年、夏から初秋にかけて神戸、三田市内で開かれる2回の「就職フェア」で職員を募集してきた。今年はコロナの影響で学生の教育実習などが遅れている。市内の幼児教育施設と市などが17年から開き、参加者も増加傾向だった三田の「保育士幼稚園教諭就職フェア」は10月31日に延期された。各園を巡って雰囲気を確かめられる恒例のバスツアーは中止になり、各園は採用希望者との接点をリモート就職フェアで補いたい考えだ。

 同連合会長の川田長嗣(かわたたけし)さん(61)=やよい幼稚園理事長=は「動画の制作には各園の若手職員が積極的に関わってくれ、構想から2カ月足らずでサイトができた。各園が足並みをそろえて幼児教育に取り組む三田の様子が、就職希望者や子育て中の方々にも伝わればうれしい」と話していた。


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