中国のオンライン教育業界からユニコーン誕生 子どもの数学的思考育む「Spark Education」


36Kr Japan


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子どもの数学的思考を育むオンライン教育サービス「火花思維(Spark Education)」を運営する「心更遠科技(Xingengyuan Technology)」がシリーズE1で1億5000万ドル(約160億円)を調達した。出資を主導したのはコールバーグ・クラビス・ロバーツで、既存株主のGGVキャピタル、金沙江創投(GSR Ventures)、龍湖資本(Longfor Capital)、セコイア・キャピタル・チャイナ、IDGキャピタルも出資に参加した。近日中にシリーズE2も予定しており、その完了後には同社の評価額は10億ドル(約1060億円)を突破、新たなユニコーンが誕生する見込みだ。 

同社は2017年12月に設立され、2018年3月に数学的思考を教えるライブ授業をスタートしている。初年の目標では受講生6000人を目指していたが、最終的には1万人を達成。翌2019年には受講生は10万人を突破し、現在では数学的思考クラスだけでも正規受講生は25万人、月間売上高は2億元(約30億円)にまで成長した。

新規受講生の85%が在校生の紹介で入会しており、売上高に占めるマーケティング費用が10%以下に抑えられている点が特徴的だ。さらに次年度の継続率は80%を超えている。設立してからの3年間、一貫して健全な成長を続けてきたといえるだろう。

創業者の羅剣氏はクラシファイド広告サイト「ganji.com」でCTOを務めていた人物。広告畑出身だが、教育事業をはじめるにあたり、カリキュラムやサービスそのものを磨くことにより集中すべきだと考えたという。

火花思維の最近の取組みについては、以下のようなものが挙げられる。

まずは新たな科目の拡充だ。内部テストに1年をかけて完成させた幼児(3~6歳)向けの数学的思考クラス「小火花AI課」が7月にローンチし、初月で1000万元(約1億5000万円)以上の売上高を記録した。同じく幼児向けの英語AIクラスや、9~10歳向けの数学的思考クラス、6~8歳向けおよび8~9歳向けの国語クラスなどが続々と開講している。

AI講師を導入した英語クラスが開講したことで、火花思維では英語・数学・国語の三科目が出揃い、子ども向け教育プラットフォームとして本格的に市場競争に参入することになる。これまでは新規生紹介や継続受講で着々と地固めを進めてきたが、今後やより多くのリソースを投入して事業拡大を加速させる。

さらに、これまで講師と保護者の間で連絡ツールとして採用されていたWeChat(微信)を廃止し、専用アプリに移行した。メッセージのやり取りにおける講師の返答の速さや内容を運営側でチェックし、サービスの質を管理する目的だ。

海外事業戦略については、設立当初から視野に入れていたという。火花思維のカリキュラムは児童発達心理学に基づいて基礎学力を育むもので、国籍を問わず求められるものだからだ。コンダクティブエデュケーションやヒューリスティックを取り入れながら子どもたちの学習意欲や思考意欲を促していく。

新型コロナ禍においてオンライン教育への需要は急増した。こうした中、海外からも同社のサービスを受けたいとの引き合いがあったという。日本でもすでに中国語話者の間で受講者が広がっており、同社も全世界の子どもに対して生涯の財産となる教育を広めたいと考えている。


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