読売新聞様
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子供を安心して預けられる環境を整備し、女性の活躍をしっかりと後押しする必要がある。
厚生労働省によると、希望しても認可保育所などに入れない待機児童は、今年4月時点で過去最少の1万2439人だった。保育所などの定員が昨年度に約8万人増えたことにより、3年連続の減少となった。
各市区町村が待機児童を減らす取り組みを着実に進めていることは、評価できよう。
だが、「2020年度末までに待機児童をゼロにする」という政府の目標は、達成が難しい状況だ。女性の就業率が上昇し、都市部を中心に保育所の申込者が増え続けているためである。
新型コロナウイルスの流行で、保育サービスの重要性が再認識されている。政府は、待機児童がなくならない要因を分析し、有効な手立てを講じねばならない。
課題の一つは、地域全体としては保育所に空きがあるものの、利便性の高い一部の施設に希望が集中していることだ。中心市街地などでは、新たに用地を確保して施設をつくることも難しい。
厚労省は、駅前などに送迎拠点を設け、空きのある保育所まで巡回バスを運行することを推奨している。バスの購入費や運転手の経費などを補助する制度だ。
自治体が保育需要の増加を的確に予測できていないという問題もある。マンション開発で未就学児童を持つ世帯が急増し、対応できなくなる例が少なくない。
大阪市は18年度から、70戸以上のマンション建設を予定する事業者に対し、子育て世帯の入居見通しと保育施設整備について、あらかじめ市側と協議するよう義務づけている。
マンション内に保育所を併設する場合は、住民が優先的に利用できる仕組みも設けた。
保育ニーズの動向を早期に把握できるようにし、効率的に施設を整備することが大切だ。
保育士不足が原因で、保育施設側が子供を受け入れられないケースも目立っている。保育の質を向上させるためにも、保育士の確保が急務である。
賃金アップだけではなく、清掃など補助的業務を担う人を増やしたり、勤務時間を柔軟にしたりして、保育士の負担を減らすべきだ。政府は、職場環境の改善をさらに進めてほしい。
資格を持ちながら、様々な事情で現場を離れている「潜在保育士」は95万人に上るとみられている。その職場復帰も促したい。
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