娘亡くした母の絵本を寄贈 宝達志水町交安協が小中、保育所に


北國新聞


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 33年前に8歳の娘を交通事故で亡くした石川県中能登町小田中の長谷節子さん(71)が7年前に出版した絵本「なおちゃん」を、宝達志水町交通安全協会が22日、町内の小中学校や保育所などに寄贈する。まな娘を突然失った親や友人がいなくなった学友の悲しみと、優しさが詰まった1冊。目にした人に感動が広がっており、今後は関係者が絵本の読み聞かせも行い、「なおちゃん」を通して事故防止の願いを広める。

 

 長谷さんの長女尚子さん=当時(8)=は小学2年だった1987年12月15日、上級生たちが世話をする子犬を見に行く途中、道路を渡ろうとしてダンプカーにはねられた。

 

 長谷さんは何度も思い出をつづろうとしたが、胸が詰まってペンを取れなかった。それでも、孫が尚子さんと同じ8歳になった2013年、「いま書かなければ悔いが残る」と意を決して書き上げ、絵本「なおちゃん」(北國新聞社刊)を出版した。

 

 交通安全教室を企画していた協会員の境田弘一さん(52)が8月に、交通事故の悲惨さを語れる講師を探して「石川被害者サポートセンター」に相談したところ、「なおちゃん」を紹介された。一読し、娘を思う母親の心を痛いほど感じた境田さんは、協会に絵本の購入と配布を呼び掛け、協会役員の賛同を得た。

 

 この話を伝え聞いた宝達志水町の読み聞かせボランティアグループ「おひさまクラブ」代表の梅田喜代美さん(72)も絵本を読んだ。「なおちゃんが、きっと天国から命の大切さを訴えてくれている」。そう感じた梅田さんは、町内での読み聞かせ活動に「なおちゃん」を用いることを決めた。「母親の思い、同級生の思いが詰まっている。みんなに事故防止の願いを広めたい」と思いを話した。

 

 協会は22日、宝達志水町役場での贈呈式で、町に22冊を贈る。同日は梅田さんが宝達小で読み聞かせを行う。一連の出来事を聞いた長谷さんは「子どもが交通事故に遭った親の気持ちを知ってほしい。事故で命を失う人がいなくなることが私の願い」と語った。


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