影絵劇 磨け地元愛 金沢学院大生ら読み聞かせ 興味引く表現、方言織り交ぜ


中日新聞


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 金沢市に伝わる民話を子どもたちに楽しみながら知ってもらおうと、金沢学院大の学生グループが影絵劇に挑戦している。観客との間にスクリーンを介することで、新型コロナウイルスの感染予防にも配慮。子どもたちの地元愛を育むとともに、保育士などを目指すメンバーが読み聞かせのスキルアップに役立てる。 (高橋雪花)
 「今から二百年も昔のお話です−」。真っ暗な部屋の中、プロジェクターで紺色に照らされたスクリーンに、くっきりと浮かび上がった影。あめ店の中を老人が歩き、幻想的な雰囲気が漂う。金沢に伝わる民話で、あめ店に夜ごと訪れる不思議な女の話「幽霊のあめ買い」の冒頭だ。
 挑戦するのは、学生有志による団体「カスペルとKG愉快な仲間たち」。メンバーは文学部教育学科の十三人で、保育士や小学校教諭などを目指している。団体では、子どもにとってなじみの薄い民話を伝える人形劇などに取り組む。
 昨年十月以降、民話「芋掘り藤五郎」を人形劇で実演。第二弾として「幽霊のあめ買い」を取り上げるにあたり、新たな手段を探る中、新型コロナ対策ができ幽霊の世界観にも合う影絵劇をすることになった。
 八月下旬から、紙やセロハンで六体の人形やセット、小道具を手作りした。台本も市ホームページに掲載されている物語をベースに制作。子どもが分かりやすいようせりふを付け足したり、興味を引くため場面を繰り返したりと、教育者を目指す学生ならではの視点も生かした。
 台本には「はよ中はいんまっし(早く中に入りなさい)」といった金沢弁も織り込んだ。金沢で生まれ育った同大の教授から「ネーティブ」の発音を指導してもらうことも。リーダーの二年藪崎文裕さん(20)は「方言も培われてきた文化。子どもに興味を持ってもらえれば」と話す。
 希望があれば、保育園などの施設で子ども向けに公演をする予定だ。藪崎さんは「子どもの目線に立つことを念頭に置いてやってきた。反応を見ながら工夫を重ね、より良くしていきたい」と意気込む。サブリーダーの二年高田青依さん(19)は「子どもたちには、楽しんで見ながら金沢への誇りや地元愛を育み、感性を磨いてほしい」と話した。


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