スーパー保育士が教える!子どもが自然と「自分の頭で考え」「自ら動ける子」に育つコツ


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これから先、子どもたちが生きる未来は、「AI(人工知能)の活用」「自動化・ロボット化」が進み、機械でできる仕事は機械に任せ、人間はそのしくみを考える「思考力」が求められる時代になると言われています。
 「思考力」を伸ばすには、自分であれこれ考えたり、自分で考えてやってみる体験がとても大切。でも実生活では、ついつい効率を優先して子ども が考えている途中でもせかしてしまったり、待てずにおうちのかたが手を出してしまったり…。なかなか難しいものですね。

 どうすれば、「待てる」親になれるのでしょうか。「スーパー保育士」と呼ばれ、現在は子育てに関する研究・執筆・講演活動を行っている原坂一郎さんに、お話をうかがいました。

プロでも待てないことがある 神経質になりすぎなくても大丈夫!
 子どもを「待つ」のは大変ですよね。できるまで待ってあげることで、「子どもがのびのびと育つ」とわかっていても、なかなか行動に移すのは難しいものです。
 でも、安心してください。子育てのプロである保育士や幼稚園の先生でも、子どもたちに「早く」という言葉を一日に何回も言っていますから。
 では、どうして待てないのでしょうか?それは待つと自分に不都合がやってくるからです。
 忙しく、1秒でも時間が惜しいときに待つと、あとで大変なことがやってきます。それでつい「早く」と言ってしまうのでしょう。
 私は、ふだんから待つことの大切さがわかっている人で、かつ、ふだんは基本的に待つよう努力している人ならば、という条件つきで、「急がないと間に合わない」や「早くしないと子どもにも不都合が起こる」など、先ほど言った「事情があるとき」くらいは、待たないで手伝ったり、早く!と言ってしまったりしてもいいと思っています。でも、さほど急いでもいないときには、ぜひ待ってあげてくださいね。

言葉かけの工夫で思考は深まり「考えて動ける子」に!
 どんな小さな子どもでも、毎日1000個くらいのことを考え、何かをするときは「どうすればうまくできるかな?」「どうやったら早くできるかな?」などいろんなことを考えています。なので、言葉をかけるとしたら「早くして」「もう行くよ」などではなく、「どうやったらうまく□□はできるかな?」「どうしたらもっと〇〇になるかな?」など、その場面ごとにヒントになるような言葉をかけるようにすると、子どもの思考力はぐんと深まり、「考えて動ける子」になっていきます。それは結局のところ、待つ時間が短くなり、おうちのかたのイライラが半減することにつなが ります。
 「待ってあげると子どもはどんどん伸びる」というのは、そういうことなのです。

待ってもらった子はやがて自分が待てる子に
 私は自分のクラスの子どもでもわが子でも、何をするときでもいつも待てる方でしたが、これは子ども時代、私が何をしても母が待ってくれていたからだと思っています。おもちゃ屋で何を買うか迷っているときでも「ゆっくり探しなさい」といつも待ってくれていました。大人もそうかもしれませんが、子どもも自分を待ってくれた人には優しさを感じ、やがて自分も待てる子になっていきます。
 子どもを待つと言っても、そんなに長い時間はかかりません。たとえば靴を履くときは、2歳の子どもでも10秒もあれば片足が履けます。でもその10秒を待つことができず、5秒ほどで「早く」と言ってしまってはいないか、考えてみてください。
 ボタンかけひとつをとっても、たいていのものは「10秒待ってあげる」とすべて自分でできるものが多いのです。日常の中であと10秒待ってみる習慣をつけるだけで、「ひとりでできた」という達成感を味わえるものがずいぶんと増え、子どもにとっては自分自身への自信にもつながっていきますよ。

―いかがでしたでしょうか?

 「待つ」つことで、子ども自身が相手を「待てる」子になり、さらに待ったことで、子ども自身の「自分でできた!」が増え、それが自信につながることがわかりました。最初は難しいかもしれませんが、「あと10秒!」待つことから挑戦してみてはいかがでしょうか。

プロフィール
原坂 一郎
KANSAI こども研究所所長。23年間の保育所勤務時代には、どんな子どもも笑顔になるユニークな保育が注目され「スーパー保育士」と呼ばれた。現在は「こどもコンサルタント」として、子どもおよび子育てに関する研究・執筆・講演活動を全国で展開している。


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