「障害あるからこそおしゃれに」来年パリコレ出展見据えパラ・ファッションブランド


神戸新聞NEXT


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障害がある人も健常者と同じようにおしゃれを楽しんでもらいたい-。障害者でも扱いやすい機能性とデザイン性を兼ね備えたパラ・ファッションのブランド「ボトモール」を、兵庫県尼崎市在住の平林景(けい)さん(43)らが立ち上げた。目指すのは「障害者でも着られる服」ではなく「障害があるからこそおしゃれに着こなせる服」。来年のパリ・コレクションへの出展も見据える。(大田将之)

 元美容師で、息子に発達障害があるという平林さん。発達障害児ら向けの放課後等デイサービス施設「みらい教室」を尼崎市内4カ所で営む。教室は「福祉×おしゃれ」をコンセプトにカラフルでデザイン性が高く、子ども一人一人にマンツーマンで指導することなどが注目を集めている。

 アパレルブランドを立ち上げるきっかけは、障害があり、車いすで生活する知人男性の言葉だった。「試着するにも誰かの手を煩わせる。おしゃれは封印しました」。そう漏らす男性の姿に、一念発起。ブランド立ち上げを念頭に昨年11月、一般社団法人「日本障がい者ファッション協会」を設立し、服の制作をスタートした。

 今年9月、障害のある人や福祉系の大学生らの声を参考にしながら、第一作が完成した。車いすでも簡単に着脱できるよう工夫を凝らした巻きスカート「ボトモール」。車いすに広げて座れば手軽に腰に巻け、片手でも取り扱いやすいよう「マジックテープ」を採用した。ゴムを通して伸縮性を確保し、座った状態でも圧迫感が少ない。「スカート=女性」というイメージを拭い去るため、男性でも着やすいように中性的なデザインを心がけた。

 スカートに付けた「ボトモール」という名前は、英語の「Bottom」と「All」を掛け合わせた造語。「全ての人が身に付けたいボトムス」との意味がこめられる。象徴的な商品としてブランド名にした。

 当面の目標は、1年後のパリコレで車いすのモデルにボトモールの服を着てもらい、ランウェーで披露すること。「市販のジャケットは背中の丈が長く、車いすに座るとしわになる」という車いす利用者の意見を参考に、丈が短いフォーマルジャケットの制作も進めている。パリコレの後は、オーダーメードでの販売や、ファストファッションブランドとのコラボレーションなどを検討している。

 「パリの次は、ニューヨークやミラノでもファッションショーを」と夢を語る平林さん。「障害があってもなくても、おしゃれは誰もが平等に楽しめるもの。障害がある人も当たり前におしゃれをできる世の中をつくりたい」


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