児童養護施設出身者に推薦制度 生活支援にも力 福岡・筑紫女学園大


毎日新聞


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福岡県太宰府市の筑紫女学園大は、12月に実施する来年度入試で、児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもを対象とした新しい推薦制度を設ける。施設の子ども向けの推薦制度は青山学院大などにもあるが、まだ珍しい。筑紫女学園大の推薦制度は卒業するまでの生活・学習両面での支援に力を入れるのも特徴だ。

 同大の推薦制度は人間科学部の社会福祉コースで導入する。定員60人のうち5枠ある推薦枠の若干名を施設出身者らに振り分ける。具体的には、在籍する高校と入所する施設、里親家庭で暮らす子どもの場合は里親に委託措置をした児童相談所などの推薦があれば、書類や面接などで選考する。

 合格すれば施設や里親側と連携して入学前から個別相談の場を設け、各種奨学金の活用なども助言する。入学後も、教員らでつくる支援チームが生活上の相談や卒業・就職に向けた資格取得などキャリア形成を後押しする。

 国のまとめ(2019年5月時点)によると、大学などの進学率は高卒生全体で51・9%だが、児童養護施設出身者に限ると14・0%、里親家庭の子どもは27・2%にとどまる。そうした中、国は今年度、家計が厳しい子どもの大学進学を支えるため授業料の減免や給付型奨学金などを拡充した。施設から大学進学を目指す子ども向けの民間の奨学金も近年多様になっている。

 筑紫女学園大の大西良准教授(児童福祉)は国による経済支援の充実を評価した上で、残された課題として「入学後に将来がつかめず退学する学生もいる。施設から進学するモデル像がまだ限られる中で、卒業・就職などを見据えて生活支援も含めた細かなサポートが重要」と指摘。導入する推薦制度の意義を強調した。

 出願は30日から12月7日まで。初年度の状況を見ながら、他の学部での導入も検討する。【青木絵美】


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