ステイホームで幼児のゲーム遊びが増加、メリットも。与えるタイミングや効果的なつきあい方は【専門家】


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今の子どもたちにとって、ゲームは生まれたときから身近にあるものです。
ステイホームが続く中、子どもがゲームで遊ぶとき、親はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。ゲームと上手につき合える子どもにするコツを、家庭教育協会「子育ち親育ち」代表の田宮 由美先生に聞きました。

ゲームで遊ばせるタイミングは、子ども自身が欲しがるようになったとき
ゲームは楽しく遊ぶことで、お友だちとのコミュニケーションのきっかけになったり、デジタル端末に慣れたりするなどのメリットがあります。
一方で、視力の低下や、熱中しすぎてほかのことがおろそかになり、ゲームばかりしてしまうというデメリットも…。
何歳ごろになったら子どもにゲームを与えていいのか、遊ばせていいのかは悩むものです。
田宮先生は、「子どもが遊びたがるようになったときがタイミング」と言います。

「いくら家庭でゲームに触れさせないようにしていても、幼稚園や保育園に通い始めると、まわりのお友だちとの間で話題に出るようになります。今の時代、ゲームは子ども同士のコミュニケーションツールとしての役割も担っています。できればお友だちと楽しく遊ばせてあげたいですね。
それに、情報末端の機械操作に慣れておくというのは、現代において必要なことでもあります。そう考えると、子どもが欲しがるようになったときがタイミングだといえます。ただ、そこで大事になってくるのが、ゲームとの上手なつき合い方。ママやパパやとのかかわり方も重要になってきます」(田宮先生)

子どもにゲームを与えるときの注意点は?
それでは、ゲームで遊ばせるときは、どのような点に気をつけたらいいでしょうか。

「未就学児はとくに、ゲームを与えるとおとなしく遊んでくれます。だから、ママやパパもつい子守がわりに与えがち。でも、親の都合でむやみに遊ばせると、けじめがなくなってしまいます。

そうならないために、ママやパパが、最初に心がけていくといいことを3つお伝えします。
1。時間や場所を決めて、遊ぶときは、その都度約束事を伝える
2。子どもが自分の手で届く場所には置かない
3。照明は明るくしておく」(田宮先生)

【1】遊ぶ時間や場所を決め、遊ぶときに約束事を伝える
学年が上がると、親子で一緒にルールを決め、それを子ども自ら守ることができますが、未就学児の場合は、まだ少し難しいです。ですので、遊ぶときはその都度、ママやパパが約束事を伝えるのがいいと言います。

「まず、遊ぶ時間は決めましょう。1日にゲームは何分間と、決めておいてもいいですし、ゲーム機を渡すときは必ず、1時間だけとか、夕ごはんが始まるまで、などと約束を伝えるようにするといいでしょう。そうすることで、けじめがつけられるようになります」(田宮先生)

また、遊ぶ際は、ママやパパの目の届くところで遊ぶというのも大切です。

「子どもが一人でゲームをしていると、熱中しすぎてしまう場合も。遊ぶのはママやパパと一緒にいるときだけというルールも決めておいたほうがいいですね。子どもがゲームをしているときは、『面白い? 』とか、『今どんな場面なの? 』などと話しかけたり、一緒にゲーム機を見て興味を示したりしてください。そうすることで、ゲームに没頭することを軽減させ、子どもにママやパパの存在を意識させることができ、コミュニケーションをはぐくんでいけます」(田宮先生)

【2】子どもが自分の手で届く場所には置かない
ゲーム機は子どもの手が届くところに置かないことも大切です。

「いつでも好きなときに遊べるようにしてしまうと、子どもが勝手にゲーム機を取り、長時間遊んでしまうことも。
未就学児でも、ママやパパが知らないうちに、子どもがこっそりとトイレや布団の中でゲームしていたという話もあります。こうなると、視力が落ちるだけでなく、ゲームを止めなければならないときに止められない、ゲーム障害に陥る可能性も出てくるかもしれません。普段はママやパパが管理して、子どもから見えないところに片づけておきましょう。遊ぶときのみ渡すことを心がけて」(田宮先生)

【3】照明は明るくしておく
「暗い場所でのゲームは、視力低下やさらにゲーム場面にくぎづけになるおそれがあります。
ゲームをする際は、照明を明るくすることを心がけましょう」(田宮先生)

ゲームのコンテンツとしておすすめなのは、育てる系や知育ゲーム
未就学児におすすめなのは、育てる系や知育ゲームだそう。

「攻撃系、対戦型のものよりは、何かを育てるものや文字や数が出てくる知育系パズルなどがいいですね。ママやパパがこれ面白いよ、などと子どもが興味を持つ言葉をかけるといいでしょう。」(田宮先生)

約束を守れなかったときしかるのはNG。ちゃんと守れたときはほめてあげて
ゲームに熱中していると、ついママやパパと決めた約束事を守れないときも…。このようなとき、しかったり、「1週間ゲーム禁止」というように罰則を与えたりするのはNGだと言います。

「ルールを守らせるために、約束を破ったら罰則を与えるというのは逆効果です。むやみにしかると、親子の関係に溝ができることも…。
そうならないよう、最初にルールを守れなかったときの約束事は決めておいたほうがいいですね。
それは罰を与えるというより、たとえば、お手伝いをするとか、肩たたきをするといった、親子で触れ合えるような約束がいいでしょう」(田宮先生)

親が一方的にゲームの制限を押しつけると、成長し親の目が届くかなくなると、ゲーム中毒になるおそれもあると言います。
大切なことは、節度を持ってゲームと向き合える子どもに育てることです。それには、ルールを守れたときはしっかりほめることも大切です。

「子どもたちも、本当はずっと遊んでいたいけれど、頑張ってルールを守ろうとしています。その努力を当たり前とするのではなく、きちんと認めてください。『約束の時間に終われたね』『今日も上手に遊べたね』などほめることで、子ども自身もゲームと上手につき合えるようになっていきます」(田宮先生)

ゲーム以外の楽しいことも伝えていくことも大切
ゲームと上手につき合うには、ママやパパがほかの楽しみも教えてあげることも大切だと田宮先生は言います。

「ゲームは子どもが夢中になるように作られています。ハマってしまうのも無理はありません。だから、ママやパパが、言葉だけで「止めなさい」と言っても簡単に止められるものでないことを認識しておきましょう。過度にゲームにのめりこませないようにするには、ゲーム以外の楽しいことをたくさん教えてあげましょう。

外で遊んだり、絵本を読んだりするのはもちろん、ボードゲームやかるた、トランプなど、コミュニケーションがとれるアナログゲームもおすすめです。ゲームの面白さを認めたうえで、現実の生活やほかの楽しい遊びを提示してあげることが大切です」(田宮先生)

監修/田宮由美先生 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部

子どもの遊び方は時代とともに変化するものです。ゲームすべてがダメと決めつけるのではなく、いい部分にも目を向け、上手に活用しましょう。
ゲームで遊ぶときは遊び、ママやパパと過ごすときは楽しくコミュニケーションをとるなど、メリハリをつけることで、ゲームに支配されるのではなく、娯楽のひとつとして上手につき合っていける子どもに育てましょう。

田宮由美先生(たみやゆみ)
Profile
家庭教育協会「子育ち親育ち」代表。日本子育て学会所属。幼児教室・公立幼稚園・小学校での勤務、小児病棟慰問などを通し、多方面から多くの親子にかかわる。現在は、執筆を中心に、講演、個別指導など幅広く活動。実生活に落とし込んだ親の心に寄り添う記事に定評がある。著書に「子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方」(株)KADOKAWA出版。


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