過疎地の園児 居場所ピンチ/進む少子化、閉園選択/青森県内幼稚園や保育施設 運営厳しく


Web東奥


------------------------------------------------------------------------------------------------
青森県内で、小学校就学前の子どもたちが通う幼稚園や認定こども園、保育所のうち、街中心部から離れた集落にある施設は、人口減少の影響で厳しい運営を強いられている。少子化や過疎化の進行で、在籍児が減少する中、閉園や実質的な統合、施設の移転を選択する法人も出始めている。

 本年度限りで閉園する青森市浅虫地区のあさむしこども園。現在は8人が在籍する。21日、築50年を経た「昭和」を感じさせる木造園舎からは、子どもたちの元気な声が聞こえた。ただ本来、数十足を収納できるげた箱は半分以上が空いており、寂しさも感じさせた。

 同園は1951(昭和26)年に野内村立の保育所として発足。後に青森市立の施設となった。民間に移管する過程で、施設を引き継ぐはずだった法人が辞退。代わりに市内で別の保育園を運営する社会福祉法人積善会が引き受け、2007年度から運営してきた。

 積善会の佐藤秀樹理事長は「浅虫は豊かな自然と歴史もある魅力的な場所。地域の子育て環境整備のため頑張ってきたが、急激に園児が減っていった」と閉園の悔しさを語る。来年度の同地区の就学前児は12人。25年度には9人になる。園児が増える見込みはなく、人件費や水道・電気代など経費がかさむ中、閉園という苦渋の決断を下した。

 13年の浅虫小学校、15年の浅虫中学校に続いて、地域から子どもを育む施設が消える。ここ一年、市に園存続を要望してきた浅虫町会の阿部悠二町会長は「敬老祝賀会などの地域のイベントに園児が参加してくれていたが、今後は子どもと接する機会が失われる。非常に歯がゆい」と話し「行政の施策が見えない。浅虫への移住促進事業を行う一方、子育て環境の整備はしてくれない。これでは若者は来ない」と渋い表情を浮かべた。

 青森市の出生数の減少は顕著だ。07年の2350人から、19年には1634人に落ち込んだ。佐藤理事長は「そんなにたたないうちに中心部(の園)も厳しい状況になる」と指摘する。


------------------------------------------------------------------------------------------------

コメント