子育ての悩みとイライラ解消に驚くほど効く簡単なコツとは?


ダイヤモンド・オンライン


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Twitterフォロワー数50万人超、YouTubeチャンネル登録者数27万人超のカリスマ保育士・てぃ先生は、日々、子育てに悩む親たちにアドバイスを送り続けています。そのてぃ先生が厳選した子育てのスゴ技をまとめた『子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』がベストセラーとなっています。
筆者もいくつか試したのですが、ちょっとした工夫で子どもが「自分から動いてくれる」ことに驚き、「もっと早く知りたかった!」と思わずにはいられませんでした。てぃ先生は、なぜこんなにもたくさん子どもに伝わる言葉を持っているのか? どんな気持ちで子どもと向き合えば子育てがラクになり、子どもがやる気になってくれるのか? 子育て真っ最中のライターが、てぃ先生に子育ての悩みや疑問をぶつけてみました。(取材・構成/樺山美夏、撮影/赤石仁)

● 子どもに興味を持たせたいなら、 大人が楽しそうにやってみる

 ――「育児」や「子育て」に関する情報は、親の悩み、不安といったネガティブな話題が目立ちます。『子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』を読んで「もっと早く知っていたらラクになれたのに!」と思いました。てぃ先生が保育士として子どもの気持ちを理解した行動がとれるようになったのはなぜでしょうか。

 てぃ先生 僕も保育士を目指して保育実習をやっているころは、「子どもは大人の言うことを聞いてくれるもの」という思い込みがあったんです。保育士になってからもしばらくは、大人が「片づけて」と言えば子どもは片づけるだろうとか、大人が「手を洗って」と言えば子どもは手を洗うだろうと思っていました。

 それはたぶん、お子さんが乳児から幼児へと成長過程にある親御さんも同じだと思います。今まで素直だった子どもでも、自我が芽生えてくると反抗したり意見を言うようになって、戸惑いを感じたりイライラすることもありますよね。僕もはじめは、「片づけなさい」「手を洗いなさい」と命令口調になりがちでした。

 でも結局、命令しても変わらないんですよ。その場では動くかもしれないけど、次からまた同じことの繰り返しになるから、根本的なところを変えないといけないと感じました。僕がそう意識するようになって気づいたのは、「子どもにやってほしいことがあれば、まず大人の自分が楽しそうにやったほうがいい」ということでした。

 “子どもは親の背中を見て育つ”と言いますけど、本当にその通りで、言葉遣いも生活習慣も、親に限らず大人がやっていることを見て子どもは覚えていくんです。だから、大人が積極的に楽しそうにやっていると、子どもも自然と興味を持ちはじめます。

● 演技でもいいから 興味を持って応援してほしい

 ――同感です。私も、てぃ先生の本に書いてあった方法を真似して、「ママは何個片づけたよー」と先に片づけをはじめたら、子どもも真似して猛スピードで片づけはじめましたから(笑)。

 てぃ先生 結局は、「子どもにやってほしいことに、いかに興味を持ってもらうか?」がいちばん大事なんですよ。本にまとめた子育てがラクになる工夫やコツも、すべてこのポイントが共通しています。

 子どもに話を聞いてほしいときも同じ。親御さんは一方的に話したあと「わかった?」って確認しますけど、保育園では手遊びでまず子どもの気を引いて、「今からお話するね」と、聞く準備ができたかどうか確認してから話します。だから僕、お母さんたちによく言うんです。「子どもに何かしてほしいなら準備が8割ですよ」って。

 ――準備、大事ですよね。子どもがご飯に乗り気じゃないとき、メニューを小さい紙に書いて渡して「ご飯のチケットです!これを渡すとご飯が出てきます!」と言うアイデアも、効果バツグンでびっくりしました。

 てぃ先生 子どもはチケット制が大好きです。そういうことも含めて親の準備や協力が必要なんですよね。習いごとも同じで、ピアノもバレエもスイミングも、子どもが興味のないことをやらせておいて、そのうえ親が無関心だったら、楽しいわけがありません。

 子どもにやる気になってほしいなら、演技でもいいから親も興味を持って応援したほういいがいいです。一緒に楽しむくらいの気持ちでやらないと、ただの押しつけで終わってしまいますから。

 保育園では、リトミックでも折り紙でも、大人が楽しそうにやって見せると子どもたちが集まってきて、「自分もやりたい!」って言いはじめます。準備というと大げさに聞こえるかもしれませんけど、やってみるとそんなに大変なことではないと思うんですよね。

● 子どもの目線に合わせた 言葉かけを意識する

 ――仕事が忙しくて時間がないとか、精神的な余裕がなくて子どもの相手ができない、という親はどうすればいいでしょうか。

 てぃ先生 親が時間的、精神的に余裕がないのに、子どもにやらせたいことだけ押しつけるのは、そもそも難しいように思います。本人がどうしてもやりたいことなら別ですよ。でも親がやらせたいことなら、親も一緒にがんばらないと。

 それができないなら、そのタイミングでやらせるのはあきらめたほうがいいかもしれません。子どもがやりたくないのに、無理矢理やらせてもうまくいくことは少ないと思います。それでも、どうしてもやらせたいことがあるなら、子どもが楽しんでできるまでは、親がフォローしてあげること。そして本人がやりたいことも、思う存分やらせてあげたほうがいいです。

 ――親が楽しんでいる姿を見せること以外に、子どもがやる気になる方法はありますか。

 てぃ先生 子どもがやったことを親が振り返って、がんばったところを認めたり、ほめたりすると、うれしくなってやる気になります。大人も同じですよね。「今日はどんなことしたの?」「そんなことができたんだ、がんばったね!」「次はあれもやってみると楽しいかもしれないね」と声をかけるだけで、「次もがんばってみようかな」と思えるものです。

 僕は昼間保育士をしながら、夜は学童クラブで働いていた経験もあるので、小学生のお子さんたちの様子もよく見ていました。そのころも、子どもにいろんな習いごとをさせている親御さんが多かったんですが、子どもがやっていることに無関心な方が一定数いたんです。

 子どもの報告を聞く親御さんは、いるんです。でも、親のほうから子どもがやっていることに興味を持って、一緒に楽しんでいるご家庭は多くはなかった。子どもが「今日はこんなことしたんだ!」と話しかけても、「ふーん」と右から左に聞き流されてしまったり、「いいから早くしなさい」と早く帰ることに意識が向いていたり。そういう親御さんもいました。

 たったひと言でいいので、子どもの目線に合わせた言葉かけを意識すると、子どもの気持ちを理解できるようになっていくと思います。

● 子どもは先を見通して 行動することができない

 ――親も昔は子どもだったわけですよね。「自分が子どもだったらどうしてほしいだろう?」と考えればわかることも多いなと、てぃ先生の本を読んで思いました。

 てぃ先生 子どもと大人が決定的に違うところは、「先を見通せるか見通せないか」なんです。それは経験の差から生まれる違いなので、子どもは先を見通して行動することがまだできないんですね。

 たとえば、子どものひじの近くにコップがあると、大人は「これ、絶対に落とすな」と予測して、安全な位置にコップを移動させることができます。なぜなら大人には経験と知識があるから、先回りできるんです。でも子どもは、ひじの横にコップがあっても、その後どうなるか想像できません。

 お片づけも、習いごとも、勉強も同じです。自分がそれをやるとどうなるのか、子どもにはわかりません。大人が「お片づけするのは当たり前」と思っていても、子どもにはなぜ当たり前なのかわからない。大人が「子どもにスイミングを習わせて、泳げるようになればいざというとき役に立つし、楽しみも増える」と思っていても、ちゃんと伝えなければ、そんなことは子どもには全然わかりません。

 親は「答えありき」で子どもにいろいろやらせますけど、子どもは「答えがわからないことをただやらされている」という状況になってしまいます。だから親が、「これをするとこうなるんだよ」と先の見通しを伝えて、ひとつひとつ子どもが納得して、興味を持つとうまくいきやすいんです。そのうえで、「泳げるようになったら、一緒にプールに行こうね!」と、親も楽しみにしていることを伝えると、子ども楽しく練習できるようになると思いますよ!(次回に続く)


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