社会的養育センター構想 児相業務の一部民営化などを提言


福祉新聞


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 全国家庭養護推進ネットワークは10、11両日、「第3回FLECフォーラム」をオンラインで開催した。施設の多機能化が求められる中、同ネットは児童相談所による子どもへのアセスメントや支援計画の策定などを児童養護施設や乳児院でも行えることなどを盛り込んだ提言を発表。名称も「社会的養育総合支援センター」などに改めるという。

 同フォーラムは2019年、社会的養育関係者の横断的なネットワークづくりなどを目的として設立。潮谷義子・慈愛園理事長、相澤仁・大分大教授、柏女霊峰・淑徳大教授が共同代表を務める。提言は元厚労省障害保健福祉部長の藤井康弘・同ネットワーク代表幹事が発表した。

 提言は、一時保護した子どもに対するアセスメントや支援計画の策定など児相が行うソーシャルワーク系の機能を民間機関でも行えるようにすることが柱。児童養護施設や乳児院などが児相業務を大幅に担うことで、業務効率化を目指す。

 名称も「社会的養育総合支援センター」とし、入所以外の支援機能を持つことを明確化する。母子生活支援施設による親子一体型の訪問支援の創設も盛り込んだ。

 同時に民間機関にはパフォーマンスに応じて措置費が増加する仕組みを求めた。「今は社会福祉法人が新たな機能に踏み出すインセンティブがない」と強調、里親委託を進めても法人全体で収入が減らない仕組みを訴えた。

 一方、児相の機能は、家庭への介入と、施設の監督にスリム化する。藤井氏は、里親委託を進めるほど児相には時間と手間がかかり負荷が大きいと指摘し「実際に私が里親をしている経験からも確信している」と語った。

■議論が本格化へ

 こうした提言を出したのは、今年中に厚労省が児童福祉法改正に向けた議論を開始するためだ。フォーラムの来賓あいさつで渡辺由美子・厚労省子ども家庭局長は「次のテーマは家庭支援の強化。虐待予防が重要な課題だ」と述べた。論点には、施設の多機能化や母子保健との連携、措置費制度の見直しなどを挙げた。


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