1・2・3歳の「言い間違い」、直す?直さない? 親が気をつけること【言語聴覚士】


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子どもの「言い間違い」は、思わずくすっとしてほほえましいものです。このかわいい言い間違いは、なぜ起こるのでしょう?  またいつごろ完成するのでしょうか?  言語聴覚士で「ことばの相談室ことり」代表を務める、寺田奈々先生に詳しく聞きました。

1歳代・2歳代はまだ言える音の種類も限られています
1歳代、2歳代の話し始めのころのおしゃべりはまだおぼつかなくて当然。大人にくらべて出せる音の種類もずっと少ないのです。

まだよく発音できない音があったり、言葉の一部しかお話しできない(例:でんしゃ→ちゃ、りんご→ご)というのは、非常によくあることです。また、音が不明瞭なだけでなく、意味の取り違えによる言い間違い(例:緑の野菜はキャベツもピーマンもみんな「サラダ」)もたくさんあります。

「そんなときには、『りんごだねー』『そうだね、サラダのキャベツだねー』のように、直接訂正はせずにさりげなく正しい言葉も聞かせてあげるといいでしょう」(寺田先生)

うまく言えないからといって、“赤ちゃん発音”で話しかけはNG
1歳後半ごろまでは、子どもがうまく言えないからといって、「おくちゅ はきまちょうねー」といった、赤ちゃん発音で話しかけをするのは控えたほうがいいと言います。

「子どもの発音の誤りはかわいくてついついまねしたくなりますが、正しい発音を聞かせてあげることに専念しましょう。靴を『くっく』、食べるを『アムアム』といった幼児語(赤ちゃん言葉)については、言葉の発達を助けることがわかっています。こちらは積極的に使ってあげましょう」(寺田先生)

2歳・3歳の子どもの「言い間違い」。伝わればOKです
2歳・3歳の「言い間違い」の例をいくつか紹介します。

イトド―カヨー(イトーヨーカドー)
オッケーグルグル(オッケーグーグル)
おすばな(お砂場)
だいどところ(台所)
くちびる(口紅)
ころんだウイルス(コロナウイルス)


「このころは、まだまだ言えない音・言葉もあるけれど、話したい気持ちがぐんぐん育っている時期。大人から言い間違いを頻繁に指摘されたり修正されると、おしゃべりしたいという意欲をそいでしまうかもしれません。上記の例のように、子どもが何を言いたかったのか? 周囲の大人が推測すればわかる範囲の間違いであれば、こまかいことは気にせずOK。可能ならば、極力聞き返さずに、がんばって話の内容を推測し、わかってあげたいところです」(寺田先生)

「言いたいことが伝わった!」という経験が自信につながり、おしゃべりの力をつけていくことができます。

「言い間違い」は「音韻の力」がないと直せません
多くの「言い間違い」をして、試行錯誤をしながら、子どもは「言葉はいくつかの音でできている」と気づきます。この力は専門用語で音韻意識(おんいんいしき)と呼ばれます。音韻意識とは音を頭のなかにイメージする力のことです。
【1】分解する
【2】取り出す
【3】自分でひっくり返す
【4】つけたししたり、取り除いたりする、などができるようになります。

「この音韻意識の力は話し始めの時期から徐々に成長し、小学校低学年くらいでおおむね完成するといわれています」(寺田先生)

下記はよく起こる「言い間違い」の例です。どのような音の間違いが起こっているのでしょうか。

<ひっくり返し>
とうもころし(正/とうもろこし)
toumokoroshi
toumorokoshi

<つけたし>
しわわせ(正/しあわせ)
shiwawase
shiawase

<置きかえ>
かくらんぼ(正/さくらんぼ)
kakurambo
sakurambo

<省略>
ごあん(正/ごはん)
goan
gohan

音韻の力を身につけるは具体的にどうしたらいいの?
言葉が少しずつ発達していくのと同じく、音韻意識も少しずつ発達していきます。多くの子どもは手遊び歌、リズム遊び、しりとり、かるたなどの遊びを通して、少しずつ身につけていきます。

お話・監修/寺田奈々先生 取材・文/ひよこクラブ編集部

3歳くらいまでの「言い間違い」は、言葉の発達過程によくあることなので、あまり神経質に直していかなくてもいいようです。「何よりもまずはおしゃべりが好きになってほしい」と寺田先生は言います。
そして「言葉が不明瞭、どんな言葉でも間違うなども気がかりがあれば、地域の保健所や支援センター、言葉の教室などに相談してみてください」が先生からのアドバイスです。

寺田奈々先生(てらだ なな)
Profile
言語聴覚士。慶應義塾大学文学部卒。養成課程で言語聴覚士免許を取得。総合病院、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務。年間100症例以上の言葉の相談・支援に携わる。臨床の傍ら、「おうち療育」を合言葉にコトリドリルシリーズを製作・販売。専門は、子どもの言葉の発達全般、吃音、発音指導、学習面のサポート、失語症、大人の発音矯正。インスタグラムは

※文中の言い間違いは寺田先生からの文例と口コミサイト「ウイメンズパーク」の投稿からの抜粋です
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