【福島市子ども条例】制定に意見出し合おう(2月17日)


福島民報


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福島市は地域全体で子育てを応援する意識の醸成に向けて「子どものえがお条例」を制定する。素案を公開し、市民の考えを聞くパブリックコメントを二十二日まで実施している。多くの人に意見を出してもらい、子どもたちの笑顔があふれる社会づくりに寄与する条例が生まれるよう期待する。 

 市は待機児童の解消をはじめとする子育て環境の整備を進めている。市内の保育施設の待機児童は、二〇一七(平成二十九)年十月には県内最多の二百五十人を数えた。同年、官民合同の対策推進会議を設け、緊急対策に着手した。不足していた保育士の確保と受け皿となる施設の拡充に力を注ぎ、保育定員を当時の四千三百六十四人から三年間で千人以上多い五千三百八十九人まで増やした。保育料の無償化などで入所申し込みも増えたが、待機児童は二〇二〇(令和二)年十月時点で四十二人まで減少している。 

 条例は、整いつつある子育て環境をより良くし、福島市を子育て世代に選ばれる市にすることを目指している。保護者や保育施設の関係者、有識者らを交えて素案の検討を重ねてきた。教育・保育の質向上や保護者の居場所確保、多世代の交流促進、大学や事業者との連携など、市の責務を盛り込んだ。単なる努力目標に終わらせないように、子育て支援事業計画の策定も明文化し、進捗[しんちょく]状況の点検と公表を掲げた。

 行政だけでなく、保護者や地域住民、事業者、学校などの役割を定めた。子どもにも「命の尊さを知り、自分自身を大切にする。人を思いやる心を持ち、互いに助け合う」と求めている。福島市の条例としては初めて「です」「ます」調にし、分かりやすい言葉を使うよう配慮した。市全体で子どもの健やかな成長を支える願いの表れだろう。 

 素案は市ホームページに掲載したほか、市役所、支所、学習センターなどの市の施設で閲覧できる。意見は郵送、ファクス、メールで受け付けている。条例は市民みんなの行動規範と言える。わがこととして、声を反映させよう。 

 小学生、中学生にもそれぞれの年代の視点で意見を出してもらいたい。授業で素案を読んでみてはどうだろうか。法令を学ぶきっかけにもなる。素案が本当に分かりやすい文言を使っているのか、子どもの目で検証してほしい。 

 条例制定は、ゴールではなく、子育て支援を恒久的に進めるスタートになる。子どもの笑顔を守る社会を福島市が実現し、他の市町村にも広がるよう願う。(鈴木 俊哉)


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