児童養護施設は多機能化へ 全社協、意識改革求める


福祉新聞


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全国社会福祉協議会の検討会は3月8日、児童養護施設や乳児院など社会的養護関係施設が今後、高機能化や多機能化を進めることなどを盛り込んだ中間報告をまとめた。社会福祉法人に対し、小規模化や地域分散化も含めた中期経営計画も求める。厚生労働省で児童福祉法の改正に向けた議論が始まるのを前に、施設を運営する社会福祉法人に対して意識改革を求める狙いがある。

 全社協が2020年8月に立ち上げた検討会は、全国児童養護施設協議会や全国乳児福祉協議会、全国母子生活支援施設協議会のほか、全国里親会などで構成。委員長は柏女霊峰・淑徳大教授が担い、5回にわたり議論した。

 中間まとめは、今後社会的養護関係施設が高機能化と多機能化を進める姿勢を明確にした。これに向け施設単体ではなく、社会福祉法人として中期計画の策定も求める。

 施設が持つ機能としては具体的に(1)一時保護(2)家族再統合支援(3)里親支援(4)アフターケア――などを挙げた。その上で、こうした事業を社会福祉事業として制度化し、義務的経費による安定的な財政措置を要請。同時に職員配置の拡充や処遇改善も求めている。

 中でも里親を支援する「フォスタリング事業」については、積極的に受託することが重要だと指摘。19年度時点では社会福祉法人の運営が51カ所である一方、自治体直営が120カ所、その他の民間が51カ所となっている。

 また、施設の小規模化と地域分散化についても進める方針を明確にした。

 すでに国は施設整備で大舎だけでなく小舎の施設ですら交付金の対象としない方針を示しており、社会福祉法人には意識改革が必要不可欠だと強調した。

 さらに施設が受け入れるケアニーズの高い子どもの対象範囲を現行よりも広げるべきと主張。このほか、虐待リスクのある家庭への「在宅措置」の検討や、保育士を含めた資格再編、子ども家庭省(仮称)の設置も盛り込まれている。

■施設の役割を強調

 全社協がこうした提言をまとめた背景には、17年に厚労省がまとめた「新しい社会的養育ビジョン」がある。「施設への原則措置入所停止」などが盛り込まれ、関係者に大きな衝撃を与えた。

 全社協検討会の関係者は「支援の必要な子どもや親に対するソーシャルワーク機能の強化は急務だ。今後も社会福祉法人が地域支援の基軸であり続けるためには国と歩調を合わせて、積極的にアピールする必要がある」と話す。

 検討会は今後も議論を継続し、今秋にも最終報告をまとめる予定だという。


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