保育園、コロナで申し込み控え? でもまだ「狭き門」


朝日新聞デジタル


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4月からの認可保育園の入園申し込みについて、これまで増加が続いていた大都市圏などでも、前年より減少するケースが目立つことが朝日新聞の調査で分かった。東京23区では21区で前年を割り込んだ。ここにも「コロナ禍」が影響しているとみられるが、一方で4人に1人が保育園に落ちる状況は変わっていない。

 4月からの認可保育園の入園について、これまで申込者数の増加が続いていた大都市圏などでも、前年より減るケースが目立つことが朝日新聞の調査で分かった。例えば東京23区の申込者数は、前年比1割近く(約5300人)減って6万1555人だった。自治体の担当者は、新型コロナウイルス感染拡大による利用控えや雇用悪化などの影響を指摘している。一方で地域などでミスマッチがあり、4人に1人が落選する状況は大きく改善していない。

 認可保育園や小規模保育園などの入園は、保護者が市区町村を通じて申し込み、市区町村が調整する。新年度となる4月の入園分は、前年秋ごろから申し込みを受け付け、1~2月ごろの調整で大半が決まる。朝日新聞はこの1次選考について、政令指定市と東京23区、前年4月時点で待機児童数が100人以上だった自治体を対象に毎年調査を実施。今回は計61自治体に2月中旬からアンケートを送付し、名古屋市と兵庫県明石市を除く59自治体から回答を得た。

 東京23区では、21区で申込者数が前年を下回った。23区全体では前年比5356人(8%)減り、6万1555人。年齢別では0歳児が1468人、1歳児が1057人、2歳児が1494人減っていた。また政令指定市の合計(名古屋市は回答せず)でも、前年から5836人(5%)減り、12万2494人となった。

■少子化でも「激戦」続いてきたが

 少子化が進む中でも、保育園の申込者数は、共働き世帯の増加などでこれまで年々増加していた。厚生労働省のまとめでは、保育所を利用する子どもの割合は、2012年の34・2%から、20年には47・7%まで上昇している。

 アンケートで申込者数が減少した理由を答えた46自治体では(複数回答)、「新型コロナの影響」を挙げた自治体が半数の計23自治体あった。「コロナウイルス感染症の拡大により、育児休業を延長する傾向が高まった」(横浜市)、「新型コロナウイルス感染症の影響により、保育施設等の利用を控える保護者等が増えたと考えられる」(大阪市)、「求職活動中の保護者が減った。新型コロナの影響で入所を見送る保護者が増えた」(広島市)、「感染リスクを考慮した申請控え」(東京都目黒区)などの声が上がった。

 また東京都世田谷区では、申し込みはしたものの4月以降も育休を延長したいと答えた保護者が、前年の1・4倍に上っているという。

 ただ、保育園の入りやすさは大きく改善していない。今回の調査で1次選考の内定者数を回答した55自治体について、申込者に占める落選者の割合を「落選率」として計算したところ、平均は23%だった。前年(26%)から微減にとどまり、依然4万8265人が落選していた。最も「狭き門」だったのは沖縄県八重瀬町(落選率42%)で、3歳児以降の入園の難しさが目立った。続いて東京都港区、兵庫県尼崎市(同40%)、東京都小平市(同36%)と続く。

■依然として「狭き門」

 各地で定員拡大を進めているものの、地域や園によってニーズが偏る「ミスマッチ」が原因と見られ、例えば約20%の人が落選した東京都板橋区でも、1次選考時点で7割超の園で定員に空きがあったという。担当者は「需要のある地区とそうでない地区の偏りが顕著になってきた。今後、空いている枠をどう利用していけるかが課題」と話す。希望園以外の園も紹介するなど、4月に向けて利用者との再調整を行っていくという。

 政府が目標として掲げる「20年度末までの待機児童ゼロ」についても、「達成が難しい」と答える自治体が、この項目に回答を寄せた49自治体中27自治体と半数を超えた。(中井なつみ、栗田優美、浜田知宏)


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