天国へのメッセージに涙 保育園バス5歳児熱中症死、追悼の花火



YAHOO JAPAN ニュース
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みんなずっとなかよしだよ――。福岡県中間市で保育園の送迎バス内に取り残された男児(当時5歳)が熱中症で死亡した日から2カ月となる29日夜、同市などで男児を追悼する花火が打ち上げられた。市民有志が企画し、花火玉には同級生が書いた追悼メッセージが貼られた。花火を見に集まった同級生や保護者のそばには遺影が置かれ、秋の夜空を見上げながら男児をしのんだ。

死亡した男児は、中間市の私立双葉保育園に通っていた倉掛冬生(とうま)ちゃん。花火は中間市に近接する福岡県直方市の生花店経営、佐々木浩代(ひろよ)さん(47)が発案。知人に協力を呼び掛け、両市の市民ら25人が合同発起人となった。  佐々木さんは、仕事の傍ら、2020年から仲間と被災地支援や子ども向けのボランティアに取り組んでいる。身近で起きた痛ましい事件は、3人の子を持つ親として「人ごとではなかった」。ボランティア仲間が慰霊行事を提案すると、佐々木さんは「花火には死者を弔う意味がある」と話をまとめ、8月下旬から準備を進めた。  仲間を通じて、冬生ちゃんと仲の良かった同級生の保護者とも連絡を取った。同級生の中には転園した子どももいたが、保護者の協力を得て追悼メッセージを依頼したところ、28通が寄せられた。打ち上げ費用は佐々木さんの生花店などに募金箱を置いた他、SNS(ネット交流サービス)で協力を呼び掛けると、遠くは東京や千葉からも寄付が届いたという。遺族に打ち上げを打診したところ、一緒に花火が見られるよう遺影を飾ってほしいと要望があった。  同級生のメッセージは、手のひら大の折り紙にひらがなで「とうまくんだいすき」「いつもあそんでくれてありがとう」「ずっといっしょだよ」などと書かれ「だいすき」の言葉と笑顔のイラストが描かれたものもあった。打ち上げ前に佐々木さんとボランティア仲間の岩本茉莉子(まりこ)さん(38)が花火玉に貼り付け、佐々木さんは「たまらんね」と目を赤くした。  29日夜、中間市と直方市それぞれの遠賀川河川敷から75発ずつ打ち上げた。同級生や保護者らは河川敷の近くに借りた建物から冬生ちゃんの遺影とともに夜空を見上げた。  佐々木さんは「花火を通じて子どもたちの思いが天国に届いたと思う。(冬生ちゃんも)空の上から見ていてくれたら」。4歳の長男悠利(ゆうり)ちゃんを連れて作業した岩本さんは「息子と同年代の子どもの命が失われた事件。何もせず終わらせたくなかった」と語った。  冬生ちゃんは7月29日夕、保育園の駐車場に止まっていた送迎バス内で熱中症で死亡しているのが発見された。登園時にバスを運転していた前園長(5日付で退任)が冬生ちゃんが降りていないのを確認せずに施錠するなど安全確認の不備が判明。福岡県や中間市は8月末に保育園側に改善勧告を出した。福岡県警も業務上過失致死容疑で捜査している。【奥田伸一】


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