長期化するコロナ禍で増える不登校…『子どものSОS』発見に試行錯誤をする教育現場




MBSnews

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文部科学省の調べによりますと、2020年度に全国の小中学校で不登校になった児童や生徒の数は、19万6127人いたということです。この数は1991年度以降、最も多い人数となります。長期化するコロナ禍に左右される学校生活は、子どもたちの心にも大きな影響を与えています。子どもたちを支えるために試行錯誤をしながらサポートする教育現場を取材しました。

 学校の教材を手に勉強を教えてもらう子どもたち。大阪府吹田市にある「フリースクールここ」は、様々な理由から学校に行けなくなった小学1年~高校3年生までの児童や生徒らが通うフリースクールです。

 コロナ禍となった去年の春以降、子どもや親からの相談が増えて、その内容も深刻になっているといいます。

 (NPO法人ここ 馬場しずか副理事長)


 「コロナ前は、例えば『学校にちょっと行きづらい』とか、『友達とうまくなじめないんです』という子の相談が多かったんですけど。今ではコロナ禍になって外にも出られないので、親子ともに気持ちのリフレッシュの機会が減っているので。ちょっと思いつめたような」

 中学1年の曵原紀乃さん。今年の春に地元の中学校に入学しました。しかし…

 (中学1年 曵原紀乃さん)

 「コロナが広まってから『クラスから出ちゃダメ』となって、そこから友達となかなか話せなくなった」

 コロナの影響で曳原さんの通う学校では“クラス間の移動”が禁止に。そのことで小学校の頃から仲の良い友達と話せなくなり、孤立することも。新しい学校生活に馴染めず入学してからわずか2か月の今年6月から不登校となりました。

 (中学1年 曵原紀乃さん)

 「入って1か月は(學校に)通っていたけど、6月1日くらいから学校を休んで、他のところを探して、ここを見つけて通っています」

 このフリースクールに入ってからは休むこともほとんどなくなり、休憩時間も年の違う子供たちに囲まれて楽しそうに過ごすようになりました。

 (中学1年 曵原紀乃さん)

 「(Q今はこのフリースクールに通っていて楽しい?)楽しいです。話したり、みんなと外に遊びに行ったりできるから楽しいです」

 職員も子どもたちに寄り添えるよう、これまで以上に“心のケア”を重視しています。

 (NPO法人ここ 馬場しずか副理事長)

 「コロナで外に出る機会が減ってしまうと、孤立してしまいがちになるので。悩んでいるのが1人じゃないというのを伝えたいですね。それはお子さんだけじゃなくて、お父さんやお母さんとか、その子を見守る保護者の方全員に対しても思います」

 子どもたちのSOS。それをいち早く察知するための取り組みが始まっています。大阪府枚方市の「市立長尾西中学校」。ここでは去年2月から“あるアプリ”を導入しました。

 (中学3年生の生徒)

 「きょうの天気は晴れです」

 実はこのアプリ、その日の天気を表したものではありません。『晴れ』『曇り』『雨』『雷』の4つから、その日の自分の気持ちを選んでいるのです。生徒たちは配布されているタブレット端末を使い、毎朝その日の気持ちの入力。先生は履歴やコメントなどを見て、異変に気づくきっかけにしているということです。

 (中学3年生の生徒)

 「口で伝えなくても天気で伝えられて、先生も確認するので(気持ちを)伝えやすくなりました」

 「普段から曇りにしておいて、『きょうはなんか元気だな』とか、『文化祭とか体育祭があって楽しみだな』と思う時には晴れにします。自分のその日の気分を考えることが増えたので、帰るときには晴れにしたいとか考えるようになりました」

 選ぶ天気は人それぞれ。中にはずっと曇りや雨を選ぶ生徒もいるため、先生は天気マークの『変化』に注目しています。

 (枚方市立長尾西中学校 石川裕子校長)

 「晴れを選ぶのか雨を選ぶのかは子ども次第ですので、変化があった時がひとつの声のかけ時。子どもはコロナ禍で我慢をしています。つらい時につらいと言える状況も大事だと思います」

 長期化するコロナ禍で、学校は子どもたちからのSOSを発見しやすい環境づくりに力を注いでいます。


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