「青空保育10年」米沢に根付く 福島のNPO、原発事故機に移転



河北新報onlineニュース
------------------------------------------------------------------------------------------- 福島市のNPO法人「青空保育たけの子」が東京電力福島第1原発事故を機に活動拠点を山形県米沢市へ移し、今秋で10年を迎えた。福島県からも子どもを受け入れる認可外保育所の運営を中心に、野外活動など幅広い取り組みを通じて地域とのつながりを深めている。

 米沢市郊外にある約3300平方メートルの広い土地に、古民家を改修した保育施設が立つ。子どもたちは敷地内の畑で野菜を育てたり、周囲の川や公園で自然に親しんだりして一日を過ごす。スタッフが庭に造ったツリーハウスは、子どもたちの格好の遊び場だ。

 通うのは1~6歳の幼児12人。うち6人は福島県内に住んでおり、スタッフがワゴン車で送迎する。子どもたちの自主性を尊重する、たけの子の教育方針に賛同した家庭が多い。

 法人代表の辺見妙子さん(60)は「米沢から東北に野外保育を広めたい。子どもたちも、周りの大人たちも共に成長できる場所を目指している」と言う。

 福島市で2009年に野外保育を始め、事業が軌道に乗った頃に原発事故が起きた。放射線への不安などを理由に、通う子どもが一時いなくなり活動の見直しを迫られた。辺見さんの知人の紹介で11年10月に米沢市内へ移転。現在の場所に拠点を構えた15年に認可外保育所として認められた。

 移転から10年がたち、米沢市での活動も広がりを見せる。山形県内の大学生らと協力し今月6、7日、市内の小学生約40人を対象にしたイベントを敷地内で開催。約20種類の職業を体験したり、仮想の通貨を使ったりして社会の仕組みを学べる内容で、好評を得た。

 10月には、市のブランド戦略に基づき優れた活動や商品を表彰する「米沢品質AWARD(アワード)」に輝いた。野外活動や教育方針の独自性が市全体のPRにつながると評価され、本年度の受賞4団体の一つに選ばれた。

 来年度は宿泊できるように施設を増改築し、新たな保養事業も展開する予定。市外の家族連れや幼稚園児らを招き、地元の自然や食材に触れてもらう狙いだ。

 辺見さんは「人脈や資金面の苦労を乗り越えようと10年間、懸命にやってきたことが現在の活動につながっている。これが『地域に根を下ろした』ということなのかな」と語った。




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