医療的ケアができる保育士、豊田市のこども園に誕生





朝日新聞デジタル
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胃ろうやたんの吸引などの医療的ケアができる保育士が、愛知県豊田市の市立こども園に誕生した。県内の公立幼保こども園では2例目。高度なケアが必要な子どもを自宅の近くなど、地域の園に通わせたいと望む保護者らの声に応えるため、市はほかの園でも態勢の充実を図る。

 市立童子山こども園に今年度、入園した園児の一人は、おなかに開けた小さな穴からカテーテルを小腸に通して栄養をとる。保育士20年目で、担当する亀川亜紀さんは昨年度、市こども発達センターに研修派遣され、たんの吸引や胃ろう、腸ろうなど経管栄養法の講義を受け、演習をした。

 市は医療的ケア児が在籍する公立こども園に、昨年4月から常勤の看護師を配置。亀川さんは対象の園児が入園した後、看護師に見守られながら現場経験を積んだ。分量を正確に測った容器から、注入ポンプを介して栄養剤を腹部へ。自宅でも、胃に見立てた調理用プラスチック容器を使い、カテーテルを挿入する練習などを重ね、手技を身に付けた。

 実地テストでは保護者や看護師が見つめるなか、20項目を手順通りにクリア。特定の人だけを対象に医療行為ができる「認定特定行為業務従事者」の資格を8月に取得した。園も「胃ろう又(また)は腸ろうによる経管栄養」ができる事業者として10月、県に登録された。

 障害児と関わる日常の中で「自らの理解や接し方はベストか」と問い、重症児対応や医療的ケアを学んできた亀川さん。それでも、医療行為の資格を取ることには「命に関わること。責任が重い」と、ためらったという。

 鈴木和子(わこ)園長も、受け入れが決まったころは「入園までの日数が少ないうえ、専門知識がなく、器具や備品なども含め、どんな準備が必要か戸惑いはあった」と振り返る。管が抜けた場合、保護者と連絡がつかない場合など、細かいマニュアルもつくった。

 市も現場の不安を軽減するため、制度上は必須ではない看護師の常駐や、万が一のときに備えた保険加入など環境を整備し、新たな一歩を踏むことができた。

県内では、ほかに江南市の市立保育園で、たんの吸引ができる保育士が今春から活躍しているという。
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