子どもの視力低下を防ぐには? 県眼科医会の小林副会長に聞く





山陽新聞デジタル
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近年、子どもの視力低下が問題視されている。2020年度の学校保健統計調査によると、岡山県内の小学生で裸眼視力1.0未満の割合は36.5%と前年度より5.3ポイント増え、過去最多を更新。近視の予防、進行させないための対策について、コバヤシ眼科(岡山市北区表町)の院長で、県眼科医会副会長の小林嘉延医師(50)に聞いた。

 ―岡山市内の小学校の校医を務めておられます。実際、小学生の近視は増えているという実感はありますか。それは、いつ頃からでしょうか。

 開業して約20年。近視の子どもは毎年確実に増えてきていると実感しています。担当しているある小学校の本年度の健診で裸眼視力1.0未満の人数は、裸眼視力測定者のうち38%でした。約4割という数字に驚かされます。眼鏡やコンタクトをしている人は除外されているので、近視の子はさらに多いという現状があります。
 
 ―その原因は何でしょうか。

 外遊びが減り、スマホ、タブレットなどを目と近い距離で長時間見れば近視は進みます。特に新型コロナウイルス禍で休校や外出自粛を強いられ、使用時間も長くなる傾向にあることも要因のひとつ。直近の2年間で視力低下した子どもの割合も増えています。動画の視聴やゲームをしていると静かになるので、親もつい許してしまいがち。小中学生に1人1台の情報端末を配布する国の「GIGAスクール構想」に伴い、学校でもタブレットなどのICT端末を使用するようになれば、近視が進みやすくなる可能性があることを日本眼科医会も注視しています。

 ―視力低下がスポーツや学習活動にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

 視力が悪いのに眼鏡をかけていなかったり、合っていない眼鏡をかけていると、目が疲れやすくなります。授業に集中できない子どもは視力が悪い場合に多いという報告もあります。当院でもスポーツをしていて見えにくいので困っているとよく相談を受けます。Jリーガーの約半分の選手が裸眼視力1.5以上というデータもあり、眼鏡やコンタクトも含めてきちんと見えるということは勉強にもスポーツにも大切なことでしょう。

 ―近年、眼鏡店のキッズコーナーも充実し、多彩なラインアップです。視力が低下した子どもにとって眼鏡は必要でしょうか。必要な場合、どのくらいの視力からなど目安はありますか?

 おしゃれな眼鏡が増え、以前より眼鏡をかけたくないという子どもは減っている印象です。中には、眼鏡をかけたいから、見えにくいふりをしていた子もいたくらい。視力が低下したら眼科で処方された強すぎず弱すぎない適切な眼鏡が必要です。個人差はありますが、片方の視力が0.6以下になった時が目安です。教室の後ろの席から黒板の文字を見る場合は、視力1.0が必要。スポーツに関しても、野球など比較的小さな球が速く動く球技でも視力1.0はあったほうがよいでしょう。

 ―近視の進行を抑えるためには、どんなことを気を付けたらいいでしょうか。

 正しい姿勢を保つためイスや机の高さを調節▽明るいところで読み書きをする▽本は目と30センチ以上距離を離して読む▽時間を決めて読書やゲームをする▽1日2時間外で遊ぶ▽スマホやゲームで20分遊んだら20秒目を休ませる―の6点です。特に、成長期に30センチ以内の近いところを見る時間が長くなると進行すると言われています。また、屋外で遊ぶ子は近視が進みにくいという調査結果があり、1日2時間以上、外で太陽の光を浴びしっかり遊ぶことが近視の進行を抑える秘訣(ひけつ)だと思います。


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