保育士の職場復帰 支援 金沢市 現状学ぶ研修会を開催



中日新聞
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育児で離職 労働時間など不安も

 金沢市内の保育士の数が十分でないとして、市は市内の大学などと連携し、子育てで退職した保育士らの職場復帰を目的とした取り組みを続けている。今月上旬には、保育の現状や衛生の知識を講義や演習で学ぶ研修会が開かれた。だが、参加者からは労働時間や賃金面などにおいて、職場復帰に不安の声も聞かれた。 (岩本雅子)
 「カマキリ」「バッタ」。軽快な音楽に合わせて昆虫の名前が呼ばれると、参加者は一斉に昆虫のポーズを決めて照れくさそうに笑った。保育士に求められる健康や豊かな人間関係などを体を使って学ぶ演習だ。
 研修会は同市富樫の市教育プラザで開かれた。子育てや、夫の転勤などで保育現場を離れたり、保育士資格を持っているが、企業に就職して現場経験がない二十〜四十代の十人が参加した。コロナ下で必要な衛生対策に加え、子どものアレルギーや食事の観点で必要な知識について学んだ。
 参加者の不安を和らげようと、市幼児教育センターの佐道晶枝所長補佐(58)は「四季と一緒に子どもの成長を近くで見られる職場。研修で、少しずつ復帰しようという気持ちになってもらえたら」と呼び掛けた。
 一歳の娘を連れて参加した主婦隅田友紀さん(36)は「コロナ下で自分の子どもを預けるのは不安。しかも、現場は人手不足なのに子どもは目が離せないから負担が大きい」と話す。夫の転勤で金沢に住むことになり、派遣社員として保育所での勤務を希望している。
 保育士資格はあるが現場経験がない女性会社員(34)は「正社員として保育所から内定をもらっている。ただ、現状を聞き、勤務時間は融通は利かないし給与面も厳しい。働くか迷ってしまう」と不安をこぼした。
 市は大学などに委託し、保育士育成や潜在保育士向けの研修をしている。コロナの影響でほとんどが見送りになったが、来年一月には金沢学院大で潜在保育士の就業支援事業をする。
 市内には認定こども園を含め、公立と民間合わせて保育施設は百四十八カ所。市の担当者は「常に求人を出している施設が多く、人手は十分ではない」と指摘する。同様の研修会は昨年から年一回開いており、昨年は参加者四人のうち、一人が復職したという。
 保育士不足は全国的に問題になっている。そのため、政府が十一月二十六日に閣議決定した二〇二一年度補正予算案には、保育士など現場で働く人の賃上げが盛り込まれた。


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