子どもへのワクチン接種 とくに保護者が知っておきたいこと



NHK様 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013439811000.html
------------------------------------------------------------------------------------------------

新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳の子どもへの接種が20日の専門家部会を経て承認される見通しとなる中、子どもたち自身がワクチン接種について学ぶ授業が行われました。

子どもたち自身がワクチン接種について学ぶ

15歳以下の子どもへのワクチン接種は親の同意が必要ですが、子どもたち自身も主体性を持って考えてもらおうと、岡山大学と民間研究所などが共同で教材を開発し、今月、横浜市内の小学校で行われた授業には9歳から11歳までの小学生7人とその保護者が参加しました。

授業では、教員がイラストを交えてワクチンの仕組みなどを説明した教材を使って、接種したい人と、したくない人の考え方の違いなどを伝えました。

その上でワクチン接種のメリットとリスク、それに接種した人としていない人との間で起きるいじめや差別をテーマに議論しました。

教員が子どもたちに「『家族がこう言うから』でなく『自分がどう思うか』を話しましょう」と呼びかけると子どもたちからは「接種することで副反応が出るのがこわい」といった意見や「家族に迷惑をかけたくないから接種したい」という意見が出ていました。

一方で「接種できない人や、接種したくない人もいるから、そういう人が差別されていると感じないようにすることが大事だと思う」といった意見も出ていました。

参加した11歳の女子児童は「ひとぞれぞれ感じ方や考え方が違うから、接種をした人もしない人も、いろいろな人の意見を受け入れることが大切だと思いました」と話していました。

10歳の児童の父親は「子どももしっかり考えているとわかり、驚きました。大人として知っていることは伝え、子どもがどう感じたかも踏まえ決めていくことが大事だと思います」と話していました。

授業を行った田園調布雙葉小学校の長谷川里奈講師は「教材を活用してもらい、家族や学校で大人と子どもが一緒に接種について考えてほしい」と話しています。

授業で使われた教材は「知識流動システム研究所」のホームページ上で公開され、無料でダウンロードできます。

(URLは、https://www.smips.jp/KMS/)

米CDC 12歳~18歳 ワクチンが入院を防ぐ効果は94%

 
アメリカのCDC=疾病対策センターなどの研究グループは今月、医学雑誌の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に12歳から18歳までの世代で、ワクチンが重症化を防ぐ効果についての調査結果を発表しました。

調査では、アメリカで去年7月から10月にかけて新型コロナウイルスに感染して入院した445人と新型コロナ以外で入院した777人を比較しました。

その結果、新型コロナで入院した445人のうち96%にあたる427人がワクチンを一度も接種していなかったということで、これを元に分析するとワクチンが入院を防ぐ効果は94%になったということです。

さらに、445人うち、ICU=集中治療室で治療を受けた180人を調べたところ、ワクチンを接種済みだったのは2人だけで、ワクチンがICUでの治療が必要になるほど悪化するのを防ぐ効果は98%になりました。

一方で、新型コロナウイルスでは若い世代が感染した場合、まれに全身に炎症が起きる小児多系統炎症性症候群=「MIS-C」と呼ばれる症状が出る場合があることが知られています。

これについて同じCDCなどの研究グループが今月、ワクチンが「MIS-C」を防ぐ効果があるかどうかを調べた調査結果を公表しています。

調査では去年7月から12月にかけて、新型コロナウイルスに感染して「MIS-C」になった入院患者102人を対象にワクチン接種率を調べました。

その結果、「MIS-C」で入院した102人のうち、97人はワクチンを接種していなかったということで、ワクチンが「MIS-C」を防ぐ効果を分析すると、91%になったということです。

これらの調査を行った研究グループの1人でアメリカ・エモリー大学の紙谷聡助教授は「MIS-Cは、全身に症状が出て治療が大変な合併症だ。子どもは軽症や無症状が多いという側面ばかりがクローズアップされがちだが、重症化することもあれば、重い合併症が起きることもある。それらを防ぐことができるのであれば、ワクチンを接種する意義はある」と話しています。

ファイザーなど 5歳~11歳 ワクチンが発症防ぐ効果は90.7%

 
新型コロナウイルスのワクチンを5歳から11歳に対して接種した臨床試験では、発症を防ぐ効果は90.7%で、接種後に出た症状もおおむね軽度から中程度で安全だとしています。

ファイザーなどの研究グループがまとめた臨床試験の結果は、去年11月、国際的な医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されました。

それによりますと、臨床試験にはアメリカやフィンランドなど4か国の5歳から11歳の子ども2200人余りが参加し、大人のワクチンに含まれる3分の1の量、10マイクログラムを3週間空けて2回接種する1500人余りと、ワクチンに似せた物質、プラセボを投与する750人とで効果や安全性を確認しました。

その結果、ワクチンを接種することで、中和抗体の値は16歳から25歳にワクチンを接種したときと同じ水準まで上昇し、2回の接種を受けてから7日以上たったあと新型コロナウイルスに感染し発症した人の数は、ワクチンを接種した人で3人プラセボを投与した人で16人で、発症を防ぐ効果は90.7%だったとしています。

接種後には接種した部位の痛みや倦怠感など、症状が出たケースが報告されていますが、ほとんどは1日から2日ほどで収まり、軽度から中程度だったとしています。

具体的な症状は、接種した部位の痛みが1回目の接種後で74%、2回目の接種後で71%、けん怠感が1回目で34%、2回目で39%、頭痛が1回目で22%、2回目で28%、接種部位の赤みが1回目で15%、2回目で19%、接種部位の腫れが1回目で10%、2回目で15%、筋肉痛が1回目で9%、2回目で12%、寒気が1回目で5%、2回目で10%、38度以上の発熱が1回目で3%、2回目で7%などでした。

解熱剤を服用した人は、1回目で14%、2回目で20%だったということです。

また、症例が少ないとしながらも、心筋炎や心膜炎は確認されていないとしています。

「ワクチン 予防の手段 選択肢ができるのはよいこと」

 
小児科医でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、5歳から11歳への新型コロナウイルスワクチンの必要性について「これまでこの年齢層には接種できるワクチンがなく、無防備の状態で社会に出ていたので、予防の手段、選択肢ができるのはよいことだ」と話しています。

中山特任教授は子どもたちが接種するメリットについて「社会全体で感染が拡大していて子どもたちの間でも感染が増えるのは当然だ。塾や学童保育、お稽古事など、不特定多数が密に集まる場面での感染事例は実際に起きている。感染して隔離されると子どもにとって大きな負担で、接種のメリットはある」と述べました。

一方、子どもは新型コロナに感染しても、重症化する子どもが少ないことを踏まえ、子どものワクチン接種をどう考えるかについては「どの子が感染してどの子が重症化するか、事前に特定はできず、ワクチンを接種して備えるのは大切なことだ。オミクロン株は、上気道、鼻やのどで増えると言われていて、子どもはたんを出しにくかったり、気道が小さかったりして、激しくせきこんだり呼吸困難になったりすることも考えられる。子どもにとっての上気道の感染症は侮ってはいけない」と指摘しました。

そのうえで「子どもでも5歳から11歳だとある程度ワクチンについて理解することができる。親が何も言わずに接種会場に連れて行くとパニックになる可能性もあり、あらかじめ親子でワクチンについて理解して、接種することが大切だ。ワクチンを受けることのメリットとデメリット、副反応をよく考えて、子どもも親も納得して進めなければならない」と述べました。

「保護者の考え わかりやすく子どもに伝えて」

 
子どものワクチン接種をめぐる問題に詳しい上智大学の川上祐美非常勤講師は「接種するかしないかは、保護者の価値感と責任で選択される場合が多いが、話し合いができる年齢の子どもとは互いに意見を伝え合ったり、保護者が考えたプロセスを、リスクや反対意見も含めてわかりやすく伝えるべきだ」と指摘します。

そのうえで「もし副反応が生じた場合でも真剣に考えて受けた結果だと理解し納得していれば、信頼関係を壊さず親子で一緒に乗り越えていこうという動機づけにもつながる」と話します。

さらに、子どもと話し合うことは、接種をめぐって子どもどうしの関係を悪化させたり、いじめを起こしたりしないことにもつながると指摘します。

川上さんは「子どもにとって友人関係は大きな影響力をもつので、接種したか、しないかで他者を批判したり排除したりといった分断を生まないよう、友達の家庭にもそれぞれの考え方があり、自分の家と異なる選択も相互に尊重することを伝えていくことが重要だ」と話しています。

----------

コメント