学童保育、夏休みの陣 水分はスポーツ飲料、おやつ黙食ならOK


中日新聞様


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新型コロナウイルスの感染者数が全国で過去最多を更新する中で、中部地方では多くの学校で夏休みが始まった。流行の「第七波」では子どもの感染が多く、休み中に子どもを預かる学童保育施設は感染対策に細心の注意を払う。夏本番を迎え、指導員や保護者は熱中症の予防策にも追われている。 (石井豪、鎌倉優太、安福晋一郎)
 二十日午後五時、名古屋市東区の第三矢田学童保育クラブ。掛け時計のチャイムが鳴ると、おしゃべりや人形遊びに没頭していた小学生たちが、出入り口近くにあるスタンド式の体温計に一斉に駆け寄った。
 「来所時だけではなく、この時間に測るのも日課にしています」と、指導員を務める伊藤理絵さん(46)。最大三十五人が同時に滞在するため、体温測定も小まめにしている。
 熱中症予防にも力を入れる。効率的な水分補給のため、粉末状のスポーツ飲料を買い置きしている。興味を引きやすいゼリーに加工して食べさせる工夫も。わが子二人を迎えに来た東区の鎌倉慎一さん(51)は「できる限りの感染対策はなされているし、万が一、感染者が出ても仕方ない。子どもは遊びに夢中になると暑さを忘れてしまうから、熱中症のほうが心配だ」。
 新規感染者数が二十一日に二千人を超え、過去最多を更新した三重県。津市の南が丘小に隣接する放課後児童クラブでは、市内で最多の約二百三十人の児童が三棟の建物で過ごす。
 全ての窓を開け、天井に設置した扇風機で換気。一月から非接触で使えるセンサー式の蛇口を設置しており、児童は小まめに手を洗う。屋外で遊ぶ場合は熱中症予防で、暑さ指数を測る機器の数値が一定以上になったら屋内に戻す。
 昨夏は一人でできる塗り絵やお絵描きを中心に遊ばせていたが、今夏は複数で遊べるカードゲームを解禁し、夏休みのキャンプやお祭りも企画する。だが、新型コロナの再流行を受け、支援員の鈴木理恵子さんは「保護者と相談し、運用を見直すかもしれない」と厳しい表情を見せた。
 岐阜市の七郷放課後児童クラブでは二十一日午後、おやつの時間に二十人以上いる部屋が静まり返った。食べ終えると児童らはすぐさまマスクを着用した。夏休みは、児童は朝からクラブで過ごす。新規感染者が過去最多となった二十日、支援員らで話し合い、感染リスク軽減のため「おやつをやめようか」との意見も出たが、夜までいる子どものためにも、黙食を徹底した上で提供すると決めた。
 熱中症の心配もあり、児童らは基本的に室内で卓球や将棋をして遊ぶ。冷房を常時つけつつ、窓を開けて換気する。運営委員長の大淵通男(みちお)さん(71)は「やるべき対策は全てやっている」と話した。

BA・5も手洗い、換気 基本徹底、現場に周知

 十代以下の新規感染者は十九日時点で全体の三割強と多い。感染力が強いオミクロン株の派生型「BA・5」に置き換わりも進み、厚生労働省は二十日、学童保育などを所管する自治体の担当部署に、感染対策の徹底を現場に周知するよう求める文書を出した。
 文書では、小まめに効果的な換気を行うことが極めて重要だと強調。二方向の窓を開け、なるべく一時間に二回程度、数分間、窓を全開にすることや、窓が一つしかない場合は扇風機を窓の外に向けて設置することなどを勧めている。
 愛知医科大の森島恒雄客員教授(感染症)はこのほか、屋内ではマスクの着用や手洗い、大きな声で長い時間おしゃべりしないといった基本的な対策が大事だと説明。のどの痛みや発熱などがある場合は受診を優先し、学童保育を利用しないよう求める。
 森島教授は、感染予防効果が期待できるワクチン接種の検討も促している。親の世代に当たる二十代の三回目接種率は47%、三十代は51%、四十代は60%。五〜十一歳の二回目接種率は二割弱だが、子どもの副反応については「軽い子が多いと分かってきた」としている。 (福本英司)


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