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福岡県中間市の私立双葉保育園で倉掛冬生(とうま)ちゃん=当時(5)=が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡した事故から29日で1年。現場の駐車場に設けられた献花台には多くの人が花や飲み物を手向けていた。小さな命を預かる現場は人手不足の中でも再発を防ごうと、IT技術を活用して園児の出欠を二重三重に確認するなど試行錯誤を続けている。 【写真】倉掛冬生ちゃんの死を悼み、玄関に飾られた花 「今日の送迎バス利用は90人、欠席5人です」 12日午前7時半、北九州市八幡東区の乳山幼稚園では職員たちが、この日にバスを利用する園児の一覧と、バス利用者リストを照合していた。
バスは3~5歳の約120人が利用。保護者が出欠とバス利用の有無をアプリで連絡すれば、一覧が園のパソコンに表示される。プリントアウトして廊下に張り出し、職員が確認する。 送迎希望が年々増え、職員の負担軽減策としてアプリを導入した。八木智崇園長は「中間市での事故は衝撃だった。また、いつ、どこで発生するか分からない」と危機感を募らせる。 開発した「ヴィッシュ」(名古屋市)によると、事故後の1年間に九州・沖縄で63の保育園や幼稚園が導入し、計378施設に広がった。ただ、類似のアプリは事故当時、双葉保育園でも導入されており、目視での確認も欠かせない。
一方で、同県直方市の電子機器開発会社「サイバネテック」は、センサーを活用し、送迎バスの置き去りを検知する画期的なシステムを開発中だ。 運転席と園児の座席エリアの2カ所にセンサーを設置。施錠後に車内で動くものがあれば園側のパソコンからアラームが鳴る仕組みだ。車内から助けを求める「呼び出しスイッチ」も設ける。同社の笹岡亮専務は「システムが置き去りを防ぐ手段の一つになる」と話す。 中村学園大短期大学部幼児保育学科の永渕美香子准教授(保育学)は「人の手とITは車の両輪。機器や通信の不具合でうまくいかない恐れもあり、保育者の目による確認は怠らないでほしい」と話す。 (上田泰成、菊地俊哉)
福岡県は監査強化 抜き打ち実施へ
双葉保育園での事故は、送迎バスの運行に国の明確な指針がなく、保育施設任せの現状も浮き彫りにした。事故を受けて、福岡県は都道府県で初めて運行指針を策定し、今秋以降は抜き打ち監査も実施する。 同保育園の前園長は1人で送迎バスを運行し、確認を十分にせず、男児を車内に残したままバスを施錠。担任の保育士らも男児がいないと気付きながら、保護者に確認せずに欠席扱いにした。 県によると、園には年1回、県や市が監査に入っていたが、送迎バスの運行に関する国や県の指針はなく、監査項目に入っていなかった。
県は「救える命を救えなかった」との反省から送迎バスの運行指針を策定した。指針は、運転手以外に職員を1人以上添乗させることや乗降時は園児の名前と人数を名簿で確認することなどを保育施設に求めている。監査項目にも、指針に沿ったマニュアルを策定し、職員に周知しているかなどの確認を加えた。 双葉保育園では既に園長と主任保育士が交代。福岡県中間市によると、7月1日現在64人が在籍する。 園の代理人弁護士によると、再発防止に向け、担任保育士は朝夕の送迎時に必ず、保護者と顔を合わせることを徹底し、会議では日常業務で気付いた危険などについて話し合っているという。 (笠原和香子)
追悼の輪広がる 市民が玄関に花
事故が起きた福岡県中間市では29日、花が大好きだった倉掛冬生ちゃんを悼んで花を飾ろうと呼びかける投稿が交流サイト(SNS)で広がり、賛同した市民が自宅玄関先に花を飾った。 双葉保育園近くに住む主婦はガーベラなどの花を飾った。1年前の夕方、自宅前を救急車が通り過ぎた記憶は鮮明だ。「大人のミスで幼い命が失われた。同世代の孫がいて、つらい」と話した。 (菊地俊哉)
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