保育士見守りの銭湯人気 育児応援、中野で企画



讀賣新聞オンライン様
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◆子ども預け 湯ったり

 中野区東中野の銭湯「松本湯」で月に1度の恒例イベントとなった「託児銭湯」が評判を呼んでいる。親の入浴中、保育士らが乳幼児を預かるもので、サウナや銭湯の人気が高まる中、ゆっくりと湯船につかる時間もない親たちにリフレッシュしてもらおうというユニークな取り組みだ。(山田佳代)

■月1回、営業前に

 9月のある週末の午後、松本湯に親子連れが次々とやってきた。「ゆっくり過ごしてきてくださいね」。子どもを預かった保育士が声をかけると、親たちは笑顔でのれんをくぐっていく。7月に始まった託児銭湯は、毎月最終土曜の正午から2時間。銭湯が営業前の時間帯を活用することで実現した。

 企画したのは区民の有志だ。中心となったのは、銭湯やサウナをこよなく愛し、同区を拠点に「ヨッピー」の名で活動するライターの豊田佳高さん(41)。自身も1歳の長男を育てている。

 サウナは近年、水風呂と交互に入ることで体調がよくなることを指す「ととのう」という言葉とともに、ブームになっている。

 豊田さんによると、人気の高まりを受けてサウナを備える銭湯への注目も集まっているが、特に幼い子どもを持つ親は、なかなか通うことができないという。子どもが小さいうちは目を離せず、大きくなっても周囲の客に迷惑をかけないか心配で、銭湯を楽しめなくなってしまうためだ。

 普段は風呂上がりの客が一息つく畳敷きの休憩所に託児銭湯の間は柵が設けられ、保育士が乳幼児の世話をする。番台前のロビーにはおもちゃも用意されている。浴室内にもスタッフがいて、入浴を楽しむ親の代わりに子どもを見守る仕組みだ。

 1歳の長女と初めて訪れた区内の会社員、加藤健介さん(37)は「託児銭湯がなければ、自分も妻も銭湯なんてしばらくいけなかったと思う。とてもありがたい」と感謝する。

■申し込み殺到

 託児銭湯は区の魅力発信事業に採用され、区が100万円の補助金を出している。ただ、保育士やスタッフの人件費などに充てるため、おもちゃやウェットティッシュなどは豊田さんらがインターネットで寄付を呼びかけて集まったものだ。

 託児銭湯は当面、来年3月までの期間限定の取り組みだが、毎回、定員を上回る申し込みが寄せられている。利用には事前申し込みが必要で、この日は都外からも含めて約100人の親子が訪れた。

 評判も上々なことから、豊田さんは4月以降も託児銭湯を続けていきたい考えで、「この取り組みが広がることで、子育て中のパパやママが気軽に銭湯を楽しめる社会になってほしい」と話している。



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