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保育施設 子供の安全守るには 保護者も連絡丁寧に


産経新聞様


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子供がはじめて社会生活を送る場となる保育施設で、痛ましい事故が絶えない。静岡県では先月、認定こども園の通園バスに女児が置き去りにされて亡くなった。園に預けている間、親の目は子供に届かない。「初めての社会生活」をできる限り安全に送れるように、親が子供に伝えておくべきこと、園選びで着目すべき点などはあるのか。専門家に聞いた。(田中万紀)

10月下旬のこの時期は、子供が来年度通う保育園などを選ぶための見学や、入園手続きを進めているという人もいるだろう。

見学すると普段の園の様子を見ることができる上、保育士らに質問できる。子供の安全管理に詳しい日本こどもの安全教育総合研究所(東京)の宮田美恵子理事長は、「説明会などの場で、『出欠確認はどのようにしていますか? ダブルチェックをしていますか』と尋ねるのは効果的です」と助言する。「気を付けていますか」といった曖昧な聞き方では、実際の出欠確認の手順など、具体的な回答を引き出せないからだ。

同様に、「保護者から欠席の連絡がないのに子供が休んでいることはどのくらいの頻度でありますか?」「その場合に園はどのように対応しますか」などと聞くと、答え方から園側の登園管理への意識や体制を推し量ることができる。

宮田さんは「(登園済みかを確認する)登園リストは命のリスト。そこがいい加減な園は、あらゆる面でずさんな対応をとっている懸念がある」と指摘する。

また、元保育士で常葉大保育学部の石田淳也助教(35)は、「見学だけで判断するのは難しい」としながらも、いくつかチェックポイントを挙げた。

まずは園庭で遊ぶ多くの園児たちを、何人の職員が見守っているのか確認すること。これは園に人手が足りているかどうかを把握する一定の目安になる。さらに、教室が整頓されており、高いところにものを置いていない園は、総じて安全管理意識が高いという。

園との連絡密に

実際に子供が園に通い始めてから、保護者ができることもある。

「普段から出欠の連絡を丁寧に行うことは、園側の緩みやずさんな対応を防ぎ、緊張感を保つことにつながる」と石田さん。保護者側も意識を高く持つよう訴える。

今年9月、静岡県内の認定こども園の通園バスに3歳女児が置き去りにされて亡くなった際、園側は「降車確認や出欠把握を怠った。ミスの連鎖があった」と認めた。保護者が園と連絡を密にすることは、園側の安全管理意識を向上させることになる。また、子供にも日頃から先生の話をよく聞き、園の約束ごとを守るように教えておくことも、対策の一つになるという。

「ラッパのマーク」教えて

子供が危険に巻き込まれないための最後のとりでは、子供自身の危機回避能力を高めることだ。

来年4月からは通園バスにブザーなどの安全装置の設置が義務化される予定だが、車内閉じ込めなどが起きた際、子供が助けを求めるもう一つの手段として、今から車のクラクションを鳴らす練習をしておくことも効果的だという。

「子供に『一人で車に残されて困ったときには、ラッパのマークを強く何度も、大人が来るまで押すんだよ』と根気良く丁寧に教えて、実際に練習して」と宮田さん。マイカーで普段から練習しておけば、いざという時に思い出せるかもしれない。

安全対策は幾重にも

命にかかわるような重大な危機ではなくとも、子供の日常の何気ない場面にも、多くの危険が潜んでいる。石田さんは「想定外は想定内。子供は大人がまさかと思う行動を取ることがあるし、大人によるヒューマンエラーも起こり得る。事故は起こると常に考えることが大切だ」と強調。宮田さんも「安全管理は二重ではまだ足りない。一つが機能しなくても次、その次が機能するように、何重にも対策を講じなければなりません」と力を込めた。

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