「園児も保育士も笑顔であるために」疲弊する保育現場の課題解決にノーベル賞受賞の理論?


TBS NEWS DIG様


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静岡県の保育園で起きた虐待事件。逮捕された元保育士の一人は弁護士に「業務量が増えストレスを感じていた」と話しているといいます。
保育現場での課題とは何か、職員の生の声と対策を講じる県内の保育園を取材しました。

合志福祉会 保育士 金重 ひとみさん

「根底に問題として何があるのか、みんなに考えてもらって、この先いい方向に
進めていく必要があると思っています」

静岡県で起きた園児への虐待事件を受け、声をあげたのは合志市で3つの保育園を運営する団体で働く保育士です。

金重さんは国が定める保育士の配置基準にも課題があると訴えます。認可保育園に対する基準では、4歳児以上の子どもには、30人あたりに1人の保育士を配置することが義務付けられています。

しかし・・・

合志福祉会 保育士 田島 真理さん
「子どもが『先生、先生』といっぺんに来て、答えてあげることができなくて、
『ちょっと待って、ちょっと待って』っていうので1日が終わる」

多忙を極めるなかで、心身に余裕が持てなくなる保育士も多いといいます。

金重 さん

「明日のことも、来年のことすらも考えられないような、どんどん精神的に削られていくんですよね」

そのためこの保育園では2人の保育補助者を採用し園児20人あたりに最低2人の保育士を配置しています。さらに、勤務体制に「ナッジ理論」を取り込みました。


記者

「こちらが15分刻みで分けられたシフト表です。これによって、先生たちの一日の動きが一目で分かるようになっています」

ナッジ理論とは、相手に選択の自由を残しつつ、より良い選択を選べるように促すこと。職員のシフトを15分刻みで管理し休憩や引き継ぎがスムーズにいくようにしています。
※ナッジ理論…アメリカの経済学者 リチャード・セイラー博士(シカゴ大教授)が提唱。2017年にノーベル経済学賞を受賞。


田島 さん

「みんなが休憩を堂々と取れる。こういうのがなかったら、なんとなくで『きょう取れなかったわ』っていう日もきっとあったと思うんです」

こうした取り組みによって1人の保育士が同じクラスを見続けることがなくなり「心のリフレッシュ」にもつながっているといます。

田島 さん

「年中・年長が昼寝をしないので、ずっと起きている状態。起きている子と対峙していると、やっぱり疲弊していく。ちょっとずつチェンジして、保育士の心のゆとりにつながるかなと思っています」

保育士の人材不足が叫ばれる中、園児も保育士も笑顔であり続けられる工夫が今、始まっています。

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